ドル円は本日安値圏で推移 FOMCが開催=NY為替後半
NY時間の終盤に入って、ドル円は109円台前半と本日安値圏での推移となっている。きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となり、109円台前半に値を落としている。前日はリスク回避の雰囲気が強まりドル円も売り優勢となったが、きょうはその雰囲気も一服し、買戻しもみられていた。しかし、反発して始まった米株式市場や原油相場が次第に伸び悩む動きを見せ、一時下げに転じたことから、リスク回避の雰囲気は根強く、ドル円も上値の重い展開が続いている。目先は先週にサポートされた109円の水準が維持できるか、そして、8月安値が108.70円付近にあり、目先の下値メドとして意識される。
中国大手不動産の恒大集団の信用問題が市場に警戒感広めている。NY時間の朝方には、少なくとも銀行2行に対する20日期限の支払いは実施していないと伝わっていた。23日以降には同社が発行した社債の利払いが相次ぎ到来する。市場ではデフォルトへの懸念を強めている状況。前日は他の中国企業のドル建て債券価格も急落し、中国企業への信用不安を強めていたが、恒大集団の経営問題がどの程度波及するのか、中国政府の出方も含めて、市場は状況を見極めたい雰囲気を強めている。
きょうからFOMCが開催。市場はFRBが資産購入ペース縮小をいつ開始するのかに注意を払っているが、今回は発表はないものの、次回の11月か12月、いずれにしろ年内には開始との見方が多いようだ。しかし、市場からは、開始時期よりも、どのように行うのか、次に来る利上げ開始がいつなのかのほうだとの意見も聞かれる。つまり、資産購入ペース縮小のスピード、そして、利上げ開始が22、23年どちらなのかという点が注目だという。
資産購入ペース縮小のスピードについては、FOMCメンバーの一部からは来年第1四半期までの終了が望ましいとの発言も出ているが、現状から考えれば、2014年の時と同様に10カ月程度に及ぶのではとの見方も少なくない。一方、利上げ開始については、今回のFOMCではFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)が公表される。6月のドット・プロットでは、22年の利上げ開始が18人中7人いたが、若干増える可能性も指摘されているようだ。ただ、いまのところ市場では、23年下期の利上げ開始との見方がコンセンサスとなっている模様。
ユーロドルは一時1.1750ドル近辺まで買い戻されていたものの、NY時間に入って1.17ドル台前半に伸び悩んでいる。ユーロドルは21日線を下放れる展開を強めており、下値警戒感が高まっているが、いまのところ1.17ドル台は堅持しており底堅さも見せている。一部からは、ECBのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)のもとでの緩やかなペースでの資産購入縮小の方向性がユーロの下値を制限しているとの声も聞かれる。
目先は、1.17ドル台を維持できるか、そして、8月安値の1.1665ドルが下値メドとして意識される。
ポンドドルはロンドン時間に1.36ドル台後半まで買い戻されていたが、NY時間に入って戻り売りが優勢となった。しかし、全体的には1.36ドル台での狭い範囲での推移に留まっている。ポンドドルはここ数日、急速に売りが強まっているが、21日線を下放れる動きが加速している。目先は8月にサポートされた1.36ドルちょうどの水準を維持できるかが注目される。その下は7月安値が1.3570ドル付近に来ている状況。
きょうは8月の英公的部門純借入額(除銀行)が発表され、借入額は205億ポンドと予想を上回っていた。しかし、英予算責任局(OBR)の見通しである216億ポンドは下回っており、8月の数字は、財政状態がOBRが3月に示した見通しほどは悪くないことを示している。しかし、ジョンソン政権は秋には財政刺激策の縮小を発表する可能性が高いと見られており、10月下旬にスナク財務相が秋の予算演説を行うが、パンデミック時の刺激策終了への言及が見込まれている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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