とれんど捕物帳 次の新たなテーマ探しか

為替 

 今週はイースター明けで本格的に第2四半期の取引が始まった。為替市場は第1四半期のドル高の巻き戻しが優勢となっている。ドル円も一時111円台を試す動きも見られていたが、到達することなく、心理的節目の110円を割り込む展開となった。米国債利回りも上げを一服させている。市場も第1四半期で、パンデミック後の今年の米経済をある程度織り込んだのであろう。特に先週の米雇用統計と今週のISM非製造業景気指数がかなり強かったにもかかわらず、市場がまるで反応しなかったことで、一部の投資家の意識に一旦終了の鐘が鳴ったようだ。

 米国のワクチン展開の順調さとバイデン大統領の巨額の財政刺激策に伴うインフレ期待が世界的に長期金利を押し上げ、ドル高を誘発したが、FRBがなお慎重なスタンスを固辞しているにもかかわらず、市場は期待先行で過度に押し上げてしまった面も否めない。特に米国債利回りとドル円については、それが言えよう。

 どうも日本を始めとしたアジア勢が一役買っていたとの声が海外勢から聞こえてくる。日本の財務省が発表している対外証券投資のデータを見ると、2月に日本の機関投資家が海外の中長期債を大量に売り越している。主に米国債であろう。また、その時の米国債の動きを思い出してみると、利回りの上昇がNY時間よりもアジア時間に顕著にみられていた。損失が出ていた米国債をロスカットして、利益が出ていたIT・ハイテク株を売って穴埋めをしたのかもしれない。日本企業は年度末でもあることから、年金基金は別として、節税対策の側面があったのかもしれない。

 いずれにしろ市場は、インフレ期待の高まりによる長期金利上昇から、次の新たなテーマを探しているようだ。「世界的な景気回復とワクチン展開」なのか、それとも「FRBの早期出口戦略」なのか。

 世界的な景気回復とワクチン展開であればユーロや新興国通貨がハイライトされるのかもしれない。ワクチン展開は現状は米英が先行しているが、周回遅れの欧州や新興国が追いついて来れば、米英の優位性は薄れ、欧州や新興国は脚光を浴びやすい。成長見通しもそれに伴って上方修正される可能性もある。

 一方、FRBの早期出口戦略であればドルであろう。ただし、FRBのスタンスは慎重だ。FRBはベース効果もあり、この先数カ月のインフレは大幅な上昇が予想されるものの、あくまで一時的と見ている。むしろ、FRBはインフレよりも雇用に軸足を置いているようだ。先週の米雇用統計は大幅な改善を見せたとはいえ、パンデミック前と比較すれば、まだ失業者は850万人多い。今後の早期出口戦略を占ううえでは、その雇用改善が予想以上に加速するかどうかがポイントになるのかもしれない。その意味では今後の米雇用統計の指標は、リー
マンショック後のバーナンキ前FRB議長時代のような、おもしろさを復活させてくれるのかもしれない。

 いずれにしろ、第1四半期のドル高の調整は警戒される。なお、米国は大規模な景気対策を打ち出し、米個人消費も今後活発化が予想され、貿易赤字も拡大しそうだ。ただ、双子の赤字問題については、まだ訴状に上りそうな気配はないようだ。 

 さて来週だが、米大手銀を皮切りに1-3月期の米企業決算の発表が始まり、注目されそうだ。米大手銀については1-3月期の債券市場が活発化したことや、イールドカーブもスティープ化が強まり、金利収入の環境も改善していることから、好調な決算が見込まれている。また、他のセクターも製造業を始め、需給がひっ迫しており、強気なコメントが聞かれそうだ。ただ、今週の米株式市場は最高値を更新していたが、その点はすでに織り込み済みである点は留意される。

 経済指標では3月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。米国ではガソリン価格の上昇が3月も続いたことから、前年比では+2.5%と、かなり高い数字が見込まれている。エネルギー・食品を除いたコア指数でも前年比+1.6%と高めだ。FRBも指摘していたが、インフレの指標はこの先数カ月、ベース効果もあって高めの数字が予想されている。ただ、FRBの早期出口戦略に結び付くことはないものと思われる。また、3月の米小売売上高も発表される。2月が寒波で大きく落ち込んだ分の反動が予想されるほか、1400ドルの直接給付が実施されていることもあり、高い数字が見込まれているようだ。ただ、失業率が依然として高い中で実体を表しているのかの疑問もあり反応は未知数。

 来週のドル円の想定レンジだが、108.50円~110.50円を想定。スタンスは「やや強気」から「中立」に変更したい。

()は前週
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次回の配信は4月24日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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