米国債利回り上昇がドル円をサポート 次第に上値に慎重になっている気配も=NY為替概況

今日の為替 

 きょうのNY為替市場でドル円は一時107.15円付近まで上昇する場面が見られた。ただ、その後は107円台を維持できずに106円台に値を落としたものの下押す気配までは出ていない。

 米国債利回りがきょうも上昇し、米10年債は1.5%近くまで上昇。それがドル円をサポートしている。しかし一方で、米株式市場ではIT・ハイテク株中心に戻り売りが続いており、ドル円も次第に上値に慎重になっている気配もうかがえる。過熱感を測るテクニカル指標のRSIも買われ過ぎの水準である70を上回って来ており、過熱感も否めない状況。このまま上値を追って良いのか迷いも出てきているのかもしれない。

 ただ、米景気回復への期待は強い。公衆衛生の改善、ワクチン接種拡大、大規模な財政刺激策が米GDPを1984年以来の大幅成長に押し上げるとの見方も出ている。今年の米経済は7%成長を予想しているようだ。低所得世帯が財政刺激策の恩恵を受け、高所得世帯は安定した収入源と貯蓄を増やしているため、今後、個人消費が急速に拡大すると見込んでいるようだ。今年の米経済は700万人の雇用を増やし、失業率は年末までに5%未満に下がるという。一方、インフレについては、過去10年間では稀な水準の3%付近まで上昇する可能性も指摘している。

 ユーロドルは1.20ドル台で推移。「ECBは債券利回り抑制で劇的な行動の必要はないとの見方をしている」と一部報道が関係者の話として伝わったことから、1.2115ドル付近まで上昇する場面がみられた。しかし、ドル買いの流れが根強い中で、NY時間に入ると戻り売りに押され、1.20ドル台に再び値を落とす展開。本日の21日線が1.2095ドル付近に来ているが、その水準を挟んでの一進一退の値動きがみられた。

 今週初に「ECBは妥当性のない利回り上昇に対処する」との一部当局者の発言も出ていたが、FRBや英中銀などが静観姿勢を見せる中で、ECB内でも国債利回りの急上昇に対するスタンスが分かれているのかもしれない。利回り上昇を抑えるために劇的な行動までは必要とはみておらず、債券購入プログラムの柔軟性と口先介入によってリスクを制御できると一部では考えられているようだ。

 ユーロ圏はワクチン展開の遅れや封鎖措置延長で、景気回復が米国よりも遅れている。その状況下でECBは、直近の利回り急上昇をFRBよりは深刻に受け止めているが、行動を起こすにはもう少し様子を見たい姿勢なのかもしれない。

 ポンドドルは1.39ドル台半ばで上下動。前日に1.3860ドル付近まで下落し、21日線を下回る場面がみられていたが、きょうのところは21日線の上を維持しており、上昇トレンドはかろうじて維持されている。

 本日はスナク英財務相が議会に2021年度予算案を提出した。市場の反応は強弱まちまちといったところ。一時帰休労働者向けの支援策や付加価値税(VAT)減税は9月末まで半年間延長された。また、来年の成長見通しを7.3%と、昨年11月の6.6%から上方修正している。

 一方、市場が懸念していた増税計画も打ち出された。膨れ上がる財政赤字に対し、法人税増税で一部を穴埋めする。23年度に法人税を現在の19%から25%に引き上げる。同相は議会で「政府は、企業がパンデミックを克服できるよう、1000億ポンド超の支援を提供している。企業側に景気回復への貢献を求めることは公平であり必要だ」と説明。「増税後でも英法人税はG7の中で最も低い」と述べた。市場からは依然不透明感が強い中で増税を示すのは悪影響が大きいとの苦言も出ている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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執筆者 : MINKABU PRESS

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