ドル円は下値警戒感を強め、再び102円台に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は102円台での下値模索を続け、下値警戒感を強める動きがみられた。前日は102.70円付近まで下落し、昨年12月の安値を一時下回っていたが、103円台に戻していた。102円台の下値を試す動きが続いたこともあり、103円台を維持できるか注目されたが、現在までの動きを見た限りではドル円の方向感は下のようだ。一時102.60円近辺まで下落。
ドル安バイアスは衰えることはなく、ドル円を再び102円台に落としている。この日発表のISM製造業景気指数が予想外の強い内容となったものの、ドル円の買いの反応は一時的で、次第に103円が強い上値抵抗に変化している様子もうかがえる。
本日は米ジョージア州の2名の上院議員の決選投票に注目が集まっている。情勢は五分五分といったところだが、現在確定している米上院の議席は共和党が50、民主党が48となっている。共和党が2名もしくは1名当選すれば、共和党が上院で過半数を獲得する。民主党が2名当選すれば、議席は同数となるが、議会で投票が二分した場合はハリス次期副大統領が上院議長として決定票を投じることから民主党に有利に働く。
もし、共和党が勝利し、ねじれ議会になった場合、税制改正や財政拡大策、インフラ投資などバイデン次期政権および、民主党が押し進めようとしている政策の実現性が不安定になるとみられている。為替市場のシナリオは様々出ているが、民主党が2議席を確保した場合、バイデン政権の財政赤字拡大策とインフレ期待の高まりからドル安シナリオを見込む声が多い。ただ、共和党でもドル高を見込む声は少数派となっている。
ユーロドルは一時、1.23ドル台に再び上昇。ユーロに特段の買い材料は見られないが、根強いドル先安観がユーロドルの下値をサポートしている。ここ数日、1.23ドル台に上昇すると上値抵抗も強まり、1.22ドル台に押し戻される展開が続いているが、今回はどうか注目される。
ただ、ユーロ圏経済については先行き不安感も強い。きょうはドイツが都市封鎖の延長を決定したが、年末年始のデータから、域内の各国政府も同様の措置を余儀なくされそうで、1-3月期の回復の可能性は従来よりも見通しが後退する可能性もありそうだ。フランス、イタリア、スペインでは新規感染者数が再び増加し始めているが、これらには年末年始の影響が十分に反映されていないという。
ポンドドルはNY時間に入っても上値追いが続き、一時1.3640ドル付近まで上昇。ドル先安観が根強く、対ドルでのポンドの買いが続いている。ジョンソン英首相はきのう、英イングランド全域への都市封鎖の再実施を表明した。2月中旬までとしているが、第1四半期の英経済への悪影響も警戒される。感染拡大も収束の気配を一向に見せていない。英当局は先ほど、新規感染者が6万916人となり過去最多となったと発表。EU離脱による英経済への悪影響も警戒されるものの、根強いドル先安観がポンドドルを押し上げており、上昇トレンドは継続している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。