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とれんど捕物帳 一服感も景気後退懸念は根強い もしそうなら誰のせいにする!

為替 

 今週のドル円は下値攻めに一服感が出て一時107円台まで買い戻される展開となった。21日線も上回って来ており、一旦リバウンド相場に入った感も出ている。予定が決まらなかった米中貿易協議が来月再開されることが決まったほか、香港情勢が一旦落ち着いたこと、そして、英議会が合意なき離脱を阻止するための法案を可決成立させたことなどで、市場の警戒感が緩んだものと思われる。

 特にリスク回避の円買いで下値模索が続いていたドル円にとっては、株式市場が下げ止まりダウ平均が再び高値を目指しそうな気配を見せていることが心強かったものと思われる。

 貿易や政治問題に振り回されている相場だが、先行きの景気に対する不安感は根強いものと思われる。今週発表になった8月の米ISM製造業景気指数は49.1と景気判断の分岐点である50を割り込んだ。2016年1月以来の低水準で、詳細を見ても生産、受注、雇用なども50を割り込んでいる。米製造業はセンチメント低下をより鮮明にしていることが示された格好。市場も強い指標までは見込んでいなかったものの、さすがに50割れは不安感を強めざるを得なかったものと思われる。

 米景気後退への懸念は根強い。以前もここでお伝えしたが、NY連銀が毎月算出している景気後退確率指数は、直近8月のデータで約38%まで高まっている。この指数は米国債の3ヵ月物と10年物の利回り格差からNY連銀のモデルを使用して算出している指標だが、1年先の景気後退の確率を示す。要は2020年8月には38%の確率で景気後退に陥ることが米国債市場が示唆しているというものだ。

 米国債の3ヵ月物と10年物の利回りは逆イールドが強まっており、景気後退入りの確率は昨年1月以降上昇傾向を続け、現水準は2007年3月以来の高水準となっている。リーマンブラザーズがサブプライム問題で経営破たんし、リーマンショックを発生させたのが2008年9月だが、その前段階を考えれば概ね当たっているのであろう。

 ちなみに過去データを見ると、2000年第1四半期と、2006年第4四半期~2007年第1四半期に40%を超える確率を示現している。それぞれ1年後程度にはITバブル崩壊、金融危機に陥っている。

 直近のデータは約38%だが、この先第4四半期に40%超まで高まると仮定し、上記のロジックを適用すれば、2020年第4四半期には米経済は景気後退に陥ることが想定される。世界経済も追随するであろう。

 ちょうど米大統領選の時期だ。ホワイトハウスとしては、いまのうちにFRBのせいにし、「あれほど大胆な利下げをしろと言ってやったのに!」ということにしたいところかもしれない。一方でFRBからすれば、貿易問題のせいにして置きたいところこかもしれない。パウエルFRB議長はじめFOMCメンバーの発言には必ず、「貿易問題が不透明を高めた。だから利下げもやむなし!」との文言が盛り込まれている。

 なお、日本は10月から消費税増税が始まるが、来年第4四半期に景気後退に陥った場合、財務省のせいにして置けば万事OKなのであろう。安倍政権としては、いまから世論を形成して置きたいところかもしれない?。

 そんな冗談はさて置き来週だが、最注目は12日のECB理事会かもしれない。中銀預金のマイナス金利の深掘りを決めると予想しており、ドイツ経済が不調を示す中で追加の債券購入も期待されているようだ。先週までのユーロドルの下げは市場が大規模緩和をECBに期待している表れとの声も聞かれ、月額500億ユーロ規模との予測も出ている。

 しかし、ECB理事の間では、利下げでは一致しているものの、債券購入再開には温度差があるようだ。ドイツ、フランス、オランダ、オーストリアといった中核国からは債券購入再開には慎重な発言もでている。今週のユーロは買い戻しが見られていたが、その辺を事前に察知したのかもしれない。

 0.1%か0.2%かはまだ未知数だが、利下げは打ち出して来るであろう。0.2%で階層化との選択肢もありそうだ。債券購入再開に関しては、「今後の有力な選択肢の一つではあるが、いまは議論の中心ではない」といった雰囲気を匂わせてくる可能性を個人的には見ている。その場合、ユーロ買いの反応も期待されるが、本格的なリバウンド相場の起点になることはないと見ている。

 一方、ドル円だが、米中の動向次第だが、来週は8月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高など重要指標が発表される。米CPIはFRBが参考指標としてるPCEデフレータは低下傾向を見せているものの、CPIは2%超の水準を維持しておりそうでもない。今回も食品・エネルギーを除いたコア指数で前年比2.3%と高めの水準が見込まれている。

 一方、8月の米小売売上高は予想外に高かった前回の反動も想定され、伸びは鈍化が予想されているものの、まずまずの数字が見込まれている。ハリケーン「ドリアン」は9月に入ってからなので今回の統計には影響していないものと思われる。

 ドル円のレンジとしては105.50~107.50円を想定。スタンスは弱気から「中立」に変更。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 →(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下から中立へトレンド変化
短期 ↑(→)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立継続
短期 →(↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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