様子見気分が強く小動きに終始 ドル円は107円台後半=NY為替概況
きょうもNY為替市場は様子見気分が強く、小幅な値動きに終始。ドル円は107円台後半での振幅が続いた。今月のFOMCでの米利下げ期待はほぼ確実視されているものの、先週までの米地区連銀総裁などFOMCメンバーの発言から、市場の一部が期待していた0.5%の大幅利下げはなく、0.25%に留まるとの見方で市場のコンセンサスは固まったようだ。
このような中でドル買い戻しの動きも見られ、ドル円は下値をサポートされている。しかし、108円台に入ると上値は重い。108円ちょうど付近に21日線が来ているが、強い上値抵抗となっているようで、戻り待ちの売りオーダーが多数入っているようだ。
ワシントンを訪問中の黒田日銀総裁がIMFのイベントに出席しており、「しっかりと強力な金融緩和を続けていく」とこれまでの発言を繰り返していたが特に反応はない。日銀も追加緩和姿勢を示唆しているものの、FRBやECBと比較して、余力はあまりないと目されており、ドル円の押し上げ効果は限定的と見られている。
ユーロドルも1.12ドル台前半での振幅。きょうは主要な指標の発表も無く手掛かり材料に乏しい中で、今週木曜日のECB理事会をにらんだ動きが続いているようだ。市場は追加緩和期待を高めており、それをほぼ織り込んでいる。今週の理事会では政策変更はないものと見込まれているものの、追加緩和の実施を強く示唆して来るものと予想されている。市場のコンセンサスは9月に0.1%の利下げとなっている。
ECBは今年に入って3月と6月の2回フォワード・ガイダンスを修正してきた。現在は、「少なくとも来年半ばまで金利を据え置く」としているが、これも大幅な修正が予想される。また、9月に包括的な量的緩和策を示してくるとも予想されている。ただし、新たな刺激策の情報が少なければ、短期的にはユーロ買いの反応も警戒されるところではある。一方で、一部で噂されている7月のサプライズ利下げも可能性は低いが排除できない。
ポンドは軟調な動きが続いており、対ドルのみならず、対円、ユーロでも下落。ポンドドルはロンドン時間に売りが強まり、一時1.2455ドル付近まで下落した。その後は下げ渋っているものの1.24ドル後半と1.25ドル台には戻せていない。
英保守党・党首選はきょうで投票が締め切られ、明日結果が発表される。ジョンソン氏が有力と見られており、次期首相に就任しそうだ。ただ、市場はジョンソン氏の首相就任により、合意無き離脱への警戒感を強めている。議会は合意無き離脱を回避しようとしているが、ジョンソン氏はその可能性になお言及しており、ポンドは上値が重い展開が続いている。合意無き離脱で、英国が景気後退に陥れば、ポンドドルはパリティ(1.00)までの下げの可能性も囁かれている模様。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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