【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:有事のフラン買いが入るも世界的な円全面高に押され190円をテスト、節目190円割れを回避し自律反発を模索する展開へ
【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:有事のフラン買いが入るも世界的な円全面高に押され190円をテスト、節目190円割れを回避し自律反発を模索する展開へ
先週から週明け(10月19日〜10月26日)のまとめ
10月19日からの週は、週前半の192円台乗せから、週後半の世界的なハイテク株安ショックに伴う急落へと転じ、大台の190.00円を巡る攻防戦となった。週前半は、中東情勢緊迫化に伴う「有事のスイスフラン買い」や底堅いドル円の推移を背景に買いが先行し、20日早朝には週間最高値となる192.138円まで上値を伸ばした。しかし、21日午後に日銀・氷見野副総裁が追加利上げを示唆すると円買いが強まり軟化。22日東京市場以降は、米ラムリサーチの決算悪化を契機にAI関連・半導体株が世界的に急落し、市場全体がリスク回避一色となった。安全通貨同士の比較において「急速に進む円高」の推進力が勝り、スイスフラン円はストップロスを巻き込んで急反落。23日ロンドン・NY市場にかけて下げ足を速め、24日早朝には一時189.974円と心理的節目の190.00円を割り込む場面も見られた。週末に格付け大手ムーディーズがフランス格付けを据え置いたことで欧州全体の警戒感が和らぎ、週明け26日には米ハイテク株の買い戻しとともに円高が一服。スイスフラン円も欧州時間朝方に190.794円まで買い戻された。しかし、190円台後半では戻り売りに押されて伸び悩み、足元27日は190円台半ば(190.30〜190.60円)での小動きとなっている。他クロス円に比べれば安全資産としてのフラン買いが下支えとなり下落幅は限定的だったものの、上値の重さが意識される保ち合い相場を形成している。
詳細な値動きの振り返り
■ 有事のフラン買いによる192円台到達と高値揉み合い(10月19日〜10月21日)
19日(月)は東京市場休場明けの中、中東情勢への警戒から原油高と安全通貨買いが交錯し、スイスフラン円は191円台半ばからNY市場にかけて192.046円まで上昇した。20日(火)の東京早朝には192.138円を記録し週間高値を更新。しかし、欧州時間に入り独ZEW景況感指数の悪化など欧州経済の先行き懸念が浮上すると一時191.353円まで軟化した。21日(水)は東京市場で191.80円前後まで持ち直したものの、午後に日銀の氷見野副総裁が追加利上げに前向きな発言を行うと円買いが優勢化。クロス円全般が崩れる流れに引きずられ、NY市場にかけて191円台前半(191.370〜191.70円)へと上値を切り下げた。
■ ハイテク株急落ショックと190円攻防戦(10月22日〜10月24日)
22日(木)は東京市場から米ラムリサーチ決算を端緒とする半導体株安が波及し、日経平均の大幅下落とともにリスク回避の円買いが加速した。市場ではスイスフランとともに円が安全資産として買われたものの、対円では円買いの勢いが勝り、191.50円を割り込むとロングポジションの手仕舞い売りが連鎖。NY市場にかけて190.724円まで急落した。23日(金)東京市場では城内経財相の利上げ牽制発言で一時191.316円まで反発したものの、ロンドン・NY市場でAI過剰投資への懸念から米ハイテク株が一段安となるとリスクオフの円買いが再燃。23日深夜に190.023円まで下落し、24日(土)早朝にはストップロスを巻き込んで週間最安値となる189.974円を付けた。ただし190円割れでは値頃感の買い戻しも入り、190.138円で取引を終えた。
■ 円高一服と190円台半ばでのもみ合い(10月24日〜10月26日)
週末にムーディーズによるフランス格付け据え置きが伝わると、欧州債務・政治リスクへの過度な警戒感が後退した。週明け26日(月)の東京市場では日経平均の反発とともに円高が一服し、朝方に190.794円まで急反発。しかしロンドン市場に入ると独Ifo指数の上振れを好感したユーロ買いの陰でフランの上値は重く、対ドルでドル高が進んだこともあって190円台前半へ押し戻された。NY市場では米IT株の買い戻しでドル円が157円台半ばを回復したものの、スイスフラン円は190.30〜190.60円を中心とした膠着状態が続き、190.358円で越週明けを通過。足元27日(火)も190.50円近辺で方向感を欠く推移となっている。
ファンダメンタルズ分析
日本・米国側:安全資産としての円の買い戻しと日米中銀会合前の様子見
先週後半の世界的なハイテク株安では、過剰投資懸念から投資資金が株式から米国債やスイスフラン、円へと逃避した。市場では「リスク局面における安全通貨としての円の復活」が強く意識されており、ドル円が200日線を下放れるなど円高圧力が強まった。週明けは米株の自律反発で円高の勢いは一服しているものの、今週は米大型テック企業の決算発表が相次ぐため予断を許さない。また、米FOMCと日銀金融政策決定会合を控えて市場参加者は神経質になっている。日銀会合では現状維持が確実視されるものの、将来的な追加利上げ姿勢が改めて示されれば、低金利通貨同士であるスイスフランと円の間で円買いバイアスが強まりやすい。
スイス側:有事のフラン買いとSNBの利下げ姿勢・スイス高警戒
スイスフランは、中東情勢の緊迫化や欧州の政治不透明感(フランス財政リスク等)を背景に「有事の逃避先通貨」として根強い買い需要が存在する。先週の波乱相場でも、ユーロやポンド、資源国通貨に対してフランが底堅さを維持した要因はここにある。一方で、スイス国立銀行(SNB)はインフレ鈍化とスイスフラン高による輸出産業への打撃を強く警戒しており、緩和的な金融政策(追加利下げ姿勢)を維持している。金利水準の低さからキャリー取引の調達通貨(ファンディング通貨)として利用されやすい側面もあり、地政学リスクが一服して市場センチメントがリスク選好へ傾いた局面では、スイス売り・円売りの両建てからクロス円での上値が重くなりやすい構造を抱えている。
テクニカル分析
トレンド判断
10/20の高値192.138円から10/24の安値189.974円まで約2.16円幅の下落を記録し、日足・4時間足ベースの上昇トレンドは一旦崩れた。ただし、心理的節目である190.00円の大台割れ(189.974円)は短時間のオーバーシュートにとどまり、すぐさま190円台を回復したことで下値のサポート力も確認された。週明けの反発局面では190.80円手前で頭を押さえられており、足元は「190.00〜190.80円」の短期レンジ相場へ移行している。190.80円を明確に上抜けない限り戻り売り圧力が意識されやすい一方、190.00円近辺は依然として強固な防衛ラインとして機能している。
【スイスフラン円 主要なレジスタンス・サポートライン(見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 192.00 - 192.15円 (10/19・10/20高値圏、心理的節目192円の大台抵抗帯)
レジスタンス2: 191.30 - 191.50円 (10/23戻り高値および急落前の節目水準)
レジスタンス1: 190.80 - 191.00円 (10/26反発高値190.794円水準、191円手前の短期レジスタンス)
(下値支持帯)
サポート1: 190.25 - 190.35円 (10/26〜10/27に下値を支えた短期支持線、日足の小底)
サポート2: 189.95 - 190.00円 (心理的節目190.00円および10/24安値189.974円の防衛ライン)
サポート3: 189.20 - 189.50円 (10/15安値189.197円水準、190円割れ後の構造的下値支持帯)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、形成された「190.00〜190.80円のレンジ」を米IT決算やFOMC・日銀会合を契機にどちらへブレイクするかにある。安全通貨同士のペアであるため他クロス円に比べ値幅は抑制されやすいが、中銀イベントを受けたドル円の急変動に連動しやすい。
【メインシナリオ】190円台での保ち合いと190.00〜191.00円のレンジ推移
日米中銀会合を控えて様子見ムードが広がる中、190.80円近辺の上値抵抗を確認しつつ、190.00〜191.00円を中心としたレンジ内での一進一退を想定する。有事のフラン買い需要が下値を支える一方、日銀の追加利上げ観測や米株の不安定さが上値を抑え、どちらにも一方的なトレンドが出にくい展開をメインシナリオとする。
想定レンジ: 189.90 - 191.20円
根拠: 190.00円の大台サポート機能の継続、190.80〜191.00円の戻り売り抵抗、米FOMC・日銀会合前の手控えムード、安全通貨同士の拮抗。
【対抗シナリオ】株安再燃・日銀タカ派による190円割れ急落、またはリスクオンによる191円台半ば回復
米IT大手の決算失望や日銀総裁のタカ派発言を受けてリスク回避の円買いが一段と加速した場合、190.00円のサポートを割り込み、ストップロスを巻き込んで189円台前半(189.20円方向)へ下落する動きが想定される。逆に、米株が力強く続伸しドル円が158円台へ急反発した場合、190.80円を突破して191.50円付近までショートカバーが入るリスクもある。
想定レンジ: 189.20 - 191.80円
根拠: 三大中銀会合と米IT決算によるボラティリティ急拡大、190円節目割れに伴うロスカットの巻き込み。
総評
10月第4週のスイスフラン円は、米ハイテク株急落ショックを受けて192円台から190円割れ直前まで押し戻された。しかし、有事の逃避先としてフラン自体にも買いが入ったため、他クロス円(ユーロ円やポンド円)に比べると下値抵抗力を見せ、190.00円の大台を実体ベースで死守している。
基本戦略としては、主要イベントを控える中で「190.70〜190.90円近辺への戻りを待っての戻り売り(ショート)」、あるいは「190.00〜190.20円近辺へ引き付けての押し目買い(ロング)」によるレンジ逆張り取引を基本としたい。ただし、日銀会合やFOMCの結果次第ではドル円主導でレンジを上下にブレイクするリスクがある。190.00円を明確に割り込んだ場合は下落余地が広がるためロングは即座に撤退し、逆に191.00円を上抜けた場合はショートを解消するなど、イベント前後のリスク管理と資金管理を徹底したい。
今週の主な指標
スイス
10/29 17:00 KOF景気先行指数 (10月) 予想 101.5 前回 101.3
10/30 17:00 実質小売売上高 (9月) 前回 3.2% (前年比)
10/30 17:30 ZEW景況感指数 (10月) 前回 -7.7
日本・米国
10/28-10/29 米・FOMC(連邦公開市場委員会)
10/29 未定 米・政策金利発表(FOMC結果公表)
10/29 未定 パウエルFRB議長 記者会見
10/30-10/31 日・日銀金融政策決定会合
10/31 未定 日・政策金利発表および展望レポート公表
10/31 15:30 植田日銀総裁 記者会見
執筆者 : MINKABU PRESS
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