【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:株安主導の円買いで強固な下値支持線をブレイク、175円台へ急落しレンジを一段切り下げる展開へ
【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:株安主導の円買いで強固な下値支持線をブレイク、175円台へ急落しレンジを一段切り下げる展開へ
先週から週明け(10月19日〜10月26日)のまとめ
10月19日からの週は、週前半こそ177円台での膠着状態が続いたものの、週後半にかけて世界的なAI関連・ハイテク株安を契機としたリスク回避の円買いが相場を主導し、急落する波乱の展開となった。これまで強固とされていた176.20〜176.30円のサポートゾーンを一気に下抜け、22日にはストップロスを巻き込んで昨年11月以来の安値水準となる175.55円まで急落。23日にはフランスやユーロ圏のPMI悪化、AI関連銘柄への信用不安再燃も重なり、一時175.10円まで下値を広げた。週末にかけて格付け大手ムーディーズがフランスの格付けを据え置いたことで連鎖的な財政リスクへの警戒感が後退し、週明け26日には独Ifo景況感指数の上振れやハイテク株の買い戻しに伴う円高一服を背景に、欧州時間にかけて一時176.43円まで反発した。しかし、かつての下値支持帯であった176円台半ばが今度は強力な戻り売り抵抗線(レジスタンス)として立ちはだかり、176円近辺へと押し戻された。強固だったボックス相場を完全に下放れ、レンジを一段切り下げた新たな下値模索の局面に移行している。
詳細な値動きの振り返り
■ 介入警戒と日銀幹部発言による膠着(10月19日〜10月21日)
19日(月)は、週初から中東情勢への警戒やドル高期待からドル円が158円台半ばまで上昇し200日線を試したものの、当局の為替介入警戒感から上値は慎重となった。ユーロドルはフランスの大規模デモ警戒から一時1.1183ドルまで急落後に買い戻され、ユーロ円は177円台前半から後半(176.73〜177.78円)の狭いレンジ内でもみ合う展開となった。20日(火)の東京市場ではアジアのハイテク株安や口先介入警戒でドル円が軟化する一方、ユーロ円は177.92円まで上値を伸ばした。しかしロンドン市場で独10月ZEW景況感指数の悪化を受けてユーロドルが急落すると上値を抑えられ、177円台半ばへと押し戻された。21日(水)には日銀の氷見野副総裁が追加利上げを示唆する発言を行ったことで円買いが優勢化。英物価指標を契機としたポンドの乱高下も交錯する中、ユーロ円は高値177.83円から徐々に上値を切り下げ、177円台半ばでの一進一退を続けた。
■ AI・ハイテク株急落による円買い加速と強固なサポートの決壊(10月22日〜10月23日)
22日(木)の東京市場では、米半導体大手ラムリサーチの決算を受けた時間外取引での株安が引き金となり、日経平均などアジア株が大幅に下落。リスク回避の円買いが急速に強まり、ドル円は157.06円まで急落した。ロンドン市場に入ると欧州株安も加わって円買いに拍車がかかり、ユーロ円はこれまで頑として機能していた176.20〜176.30円のサポートゾーンを割り込むとストップロスを巻き込んで急落。一時昨年11月以来の安値となる175.55円まで一気に水準を切り下げた。23日(金)の東京市場では城内経済財政相のデフレ脱却に関する発言で追加利上げ期待が後退し、一時176.25円まで反発した。しかしロンドン市場で発表されたフランスおよびユーロ圏の10月PMI速報値が予想を下振れてユーロ売りが強まったことや、世界的なAI関連銘柄への過剰投資・信用不安から米ナスダック先物が下落しリスク回避の円買いが再燃。NY市場にかけてドル円が再び156円台へ沈む中、ユーロ円も売りが加速し、週間最安値となる175.10円まで下値を拡大した。
■ 仏格付け据え置きによる円高一服と176円台での上値の重さ(10月24日〜10月26日)
24日(土)早朝は175.74円で取引を終了。週末に格付け大手ムーディーズがフランスの長期信用格付けを「Aa3」で据え置き(見通しはネガティブ維持)と発表したことで、連鎖的な格下げリスクへの警戒感が後退した。週明け26日(月)の東京市場では、この材料を好感したユーロ買い戻しが先行し、ユーロ円は175.76円から176.35円まで上昇。ロンドン市場でも独Ifo景況感指数が市場予想を上回ったことや、独仏国債の利回り格差(スプレッド)大幅縮小、欧州株高を支援材料に一時176.43円まで上値を伸ばした。しかし、かつて強固な下値支持帯だった176円台半ば(旧サポートライン)が今度は強力な上値抵抗線(レジスタンス)として意識され、買い一巡後は戻り売りに押されて失速。NY市場ではAI関連株の買い戻しで円高が一服したものの、対ドルでのユーロ軟調が重石となり176円付近へ押し戻された。足元27日(火)も176円台前半での膠着が続いており、上値の重さが鮮明となっている。
ファンダメンタルズ分析
日本・米国側:AI投資への疑念に伴う株安と主要中銀会合前の神経質な地合い
米IT・半導体企業の決算を契機に、巨額のAIインフラ投資に対する過剰投資懸念や信用不安が広がり、安全資産とされる米国債やスイスフラン、円に資金が逃避する動きが強まった。米長期金利の低下に伴いドル円は200日線を下放れ、一時156円台前半まで急落した。今週は米IT大手の決算発表が相次ぐほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が控えている。日銀会合では現状維持がほぼ確実視されるものの、氷見野副総裁の発言に見られるように追加利上げ姿勢への思惑が燻る。市場では「国際情勢や株式市場の不安定化が安全通貨としての円の見直しを促している」との見方が強まりつつあり、日銀が将来的な利上げに前向きな姿勢を維持すれば、一段の円高圧力がクロス円全体に波及しやすい地合いにある。
欧州側:フランス格下げ回避の一服感とECB理事会を巡るジレンマ
フランスを巡っては、ムーディーズが格付けを据え置いたことで最悪シナリオは回避され、独仏国債利回り格差が縮小するなど短期的な安心感が広がった。しかし、依然として財政赤字の削減見通しや政治情勢に対する市場の疑念は根強い。また、直近発表された独ZEW景況感指数の悪化やユーロ圏・仏PMIの下振れなど、域内景気の減速シグナルが目立っている。今週29日には欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されているが、伝達保護措置(TPI)による仏国債買い支えのハードルが高い中、ハト派姿勢を示せば金利差拡大からユーロ安を招き、引き締め姿勢を残せば仏国債利回りの上昇を招くという「板挟み」に直面している。ファンダメンタルズ面でユーロを積極的に買い上がる材料は見当たらない。
テクニカル分析
トレンド判断
先週まで強力なサポートとしてボックス相場の下限を形成していた「176.20〜176.30円」を明確に下抜け、10/23には175.10円まで急落したことで、保ち合いは完全に下放れとなった。週明け26日に176.43円まで反発したものの、かつての下値支持線が上値抵抗線へと転換(ロールリバーサル)し、176.40〜176.50円で完全に頭を押さえられている。日足・4時間足ベースでは戻り高値を切り下げる下落トレンドの形状が強まっており、相場レンジは前週までの「176.30〜178.00円」から「175.00〜176.50円」へと一段水準を切り下げた。176.50円を明確に上抜けない限り、戻り売り圧力が勝りやすいテクニカル構造となっている。
【ユーロ円 主要なレジスタンス・サポートライン(見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 177.80 - 178.00円 (先週前半の高値水準および心理的節目、強固な長期上値抵抗)
レジスタンス2: 177.00 - 177.20円 (10/23反発局面の高値圏および177円の心理的節目)
レジスタンス1: 176.40 - 176.50円 (10/26戻り高値176.43円水準、旧サポートが転換した直近レジスタンス)
(下値支持帯)
サポート1: 175.80 - 176.00円 (10/26欧州前や足元で意識される短期的な下値支持、176円の節目)
サポート2: 175.00 - 175.10円 (10/23につけた週間最安値175.10円および175.00円の心理的節目)
サポート3: 174.00 - 174.50円 (175円大台割れ後の構造的サポートゾーン、昨年11月安値圏を意識した防衛ライン)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、旧サポートからレジスタンスへと転じた「176.50円」を回復できるか、それとも175.00円の心理的節目を割り込んで昨年安値圏への下落を加速させるかにある。日銀・FRB・ECBの「中銀トリプル会合」に加え、米大型テック決算、英秋季予算案発表が重なる極めてボラティリティの高い週となる。
【メインシナリオ】ロールリバーサルによる上値の重さと175円台前半の攻防
日米欧の中銀会合を控えて様子見ムードが広がりやすい中、176.40〜176.50円の旧サポートが強力な戻り売り抵抗線として機能し、上値の重い展開が続くと想定する。ユーロ圏PMI悪化や仏財政不安によるユーロ売りの根強さに加え、米株高が一服する中で安全通貨としての円の見直し買いが意識されやすい。レンジ上限で上値の重さを確認した後、再び175円近辺へ下値を試す展開をメインシナリオとする。
想定レンジ: 174.50 - 176.50円
根拠: 旧サポートゾーン(176.40〜176.50円)のレジスタンス化、ユーロ圏景気減速懸念、米株調整リスクに伴う円買い圧力、日銀会合でのタカ派姿勢(年内利上げ示唆)への警戒感。
【対抗シナリオ】中銀イベント通過によるショートカバー、または株安・日銀タカ派による175円割れ急落
日米欧の中銀会合や米IT決算を無難に通過し、リスクオンの円売りが再燃した場合、176.50円を上抜けて177円台前半へショートカバーが入る動きが想定される。逆に、米ハイテク株安が再燃し、日銀会合で植田総裁が年内利上げに極めて前向きな姿勢を示した場合、175.00円を割り込んでストップロスを巻き込み、174円割れを窺う大幅下落のリスクがある。
想定レンジ: 173.80 - 177.30円
根拠: 三大中銀会合と米IT大手決算を受けたボラティリティ急拡大、175円割れに伴うストップロスの巻き込み。
総評
10月第3週から第4週にかけての値動きにより、それまで機能していた176円台前半のサポート帯が崩壊し、ユーロ円の取引レンジは一段切り下がった。ムーディーズによるフランス格付け据え置きで一旦パニック的な売りは収まったものの、戻りは176円台半ばで完全に頭を抑えられており、ロールリバーサルによる下落圧力が支配的である。
基本戦略としては、「176.30〜176.50円近辺への戻りを引き付けての戻り売り(ショート)」を優先したい。ターゲットは175.50円から175.10円の直近安値水準とし、175円割れでは利食いを先行させたい局面である。一方で、176.60円を実体ベースで明確に上抜けた場合は、レンジ回復とみて速やかにショートポジションを撤退(ストップロス)させる規律が求められる。今週は主要中銀の政策発表や重要決算が集中するため、突発的な乱高下に備えたロット管理と厳格なリスク管理を徹底したい。
今週の主な指標
ユーロ圏・欧州
10/26 18:00 独・Ifo景況感指数 (10月) 結果 86.9 予想 85.6 前回 85.4
10/28 20:30 英・秋季予算案公表
10/29 22:15 ECB政策金利発表
10/29 22:45 ラガルドECB総裁 定例記者会見
10/30 18:00 ユーロ圏・第3四半期GDP(速報値) (前年比) 予想 0.8% 前回 0.6%
10/30 19:00 ユーロ圏・消費者物価指数(HICP速報値) (10月) 予想 1.9% 前回 1.7%
日本・米国
10/28-10/29 米・FOMC(連邦公開市場委員会)
10/29 未定 米・政策金利発表(FOMC結果公表)
10/29 未定 パウエルFRB議長 記者会見
10/30-10/31 日・日銀金融政策決定会合
10/31 未定 日・政策金利発表および展望レポート公表
10/31 15:30 植田日銀総裁 記者会見
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





