為替相場まとめ4月6日から4月10日の週
6日からの週は、中東情勢の激化から一時停戦報道へと状況が大きく転換する「有事のボラティリティ相場」だった。週前半は、米国・イスラエル対イランの緊張緩和が見えず、トランプ大統領による合意期限(日本時間8日午前9時)を控えた警戒感が市場を支配した。特に原油価格が一時117ドル台まで急騰したことで、インフレ加速懸念から欧米中銀の利上げ期待が台頭した。一方で、エネルギー資源の輸入依存度が高い日本の交易条件悪化を背景とした「円売り」が加速し、ドル円は心理的節目となる160円台を伺う展開となった。潮目が変わったのは8日、パキスタンの仲介による「2週間の一時停戦」合意報道だ。市場にはな安堵感が広がった。これにより、有事のドル買いが急速に巻き戻され、ドル円は一時157円台まで急落した。原油価格の急落と株価の大幅上昇を伴うリスク選好相場に急転回した、しかし、週後半にかけて停戦の脆弱性が露呈する。イスラエルによるヒズボラへの攻撃継続やホルムズ海峡の封鎖懸念が拭えず、原油相場が再び反発。ECBや英中銀の利上げ期待が根強く残る中、日銀の追加利上げに対する確信が相対的に低かったことから、ユーロ円が186円台、ポンド円が213円台へ上昇するなど、最終的には「円独歩安」の様相が強まった。総じて、実体経済の経済指標以上に、「地政学ニュースへの即時反応」と「原油価格を介した各国中銀の政策期待の差」が相場を主導する極めて神経質な一週間だった。
(6日)
東京市場は、イースターマンデーや清明節に伴う主要市場(豪・NZ・中・台・港)の休場が重なり、取引参加者が限定される中で様子見ムードが広がった。ドル円は159円台後半を中心に推移。一時、米国とイランが45日間の停戦を協議との報道を受けてドル売りが強まり、159.43円付近まで下落する場面があった。しかし、イラン側からの合意難航の思惑や、翌未明に予定されたトランプ大統領の演説、SNS投稿の期限への警戒感から買い戻され、8時過ぎには159.83円を付けた。午後は159.50円台での小動きに終始した。
ロンドン市場は、イースターマンデーの祝日に伴い、ロンドン市場は休場となった。欧州勢の不在により市場の流動性が低下し、東京市場からの様子見ムードが継続。目立った材料に欠ける中、主要通貨ペアは極めて限定的なレンジ内での推移にとどまった。
NY市場では、ドル円は買い戻しが強まり、159円台後半まで値を戻した。東京・欧州時間の下げを一気に取り戻す展開となったが、160円の大台突破には慎重な姿勢が見られた。トランプ大統領の会見では強硬姿勢が堅持され、イラン側も米国の停戦案を拒否して恒久的な戦闘停止を求めるなど、情勢は流動的。一方、欧州勢不在の中でユーロドルは買い戻され、一時1.1570ドル付近まで上昇。ポンドも英中銀の利上げ期待を背景に1.32ドル台を堅持するなど、底堅さを見せた。
(7日)
東京市場、午前中は原油高を背景にドル高が優勢となった。NY原油先物が一時116.50ドル台まで上昇する中、米国が設定したイランへの合意期限(日本時間8日午前9時)を控え警戒感が強まった。ドル円は朝方の159.58円から昼前には159.93円まで上昇。午後は利益確定売りで159.73円まで調整したが、イスラエルによるイラン国内への警告が攻撃激化の予兆と捉えられ、底堅く推移した。ユーロ円は184円台、ポンド円は午後に入り211.50円超えまで水準を切り上げた。
ロンドン市場では、トランプ期限を控えた神経質な上下動が続いた。序盤はパキスタンの仲介報道や期限延長の可能性を受け、原油反落とともにドル売りが先行。ドル円は159.47円付近まで下落、ユーロドルは1.1576円付近まで上昇した。しかし、イランのカーグ島での爆発音報道が伝わると再び警戒感が広がり、ドル買い・米債利回り上昇・株価上げ幅縮小の動きとなった。ドル円は159円台後半へ押し戻され、全般に中東情勢の断続的なニュースに翻弄される地合いとなった。
NY市場は、イラン情勢を巡る目まぐるしい報道に終始した。米軍によるカーグ島空爆報道やトランプ大統領の威嚇投稿により、ドル円は瞬間的に160円台を回復。その後パキスタンによる期限延長要請が伝わると159円台半ばへ押し戻された。特筆すべきは「ドル高」ではなく「円安」の進行で、原油高に伴うインフレ懸念から欧英中銀の利上げ期待が急浮上。ユーロ円は185円台、ポンド円は212円台を回復した。一方、日銀の対応への期待は相対的に低く、円が独歩安の様相を呈した。
(8日)
東京市場では、米国・イスラエルとイランがパキスタンの仲介により「2週間の停戦」に合意したとの報道を受け、リスクオフのドル買いが急激に巻き戻された。ドル円は朝方の159.60円台から午前中に158.29円まで急落。一時4月1日の安値付近で支えられたが、ロンドン勢の参入に合わせて一段安となり、158.11円と3月下旬以来の安値圏を付けた。対照的に、ECBの利上げ期待も重なったユーロドルは1.1709ドルまで、ポンドドルは1.3440ドル台まで急騰した。
ロンドン市場は、東京市場からのドル売りの流れが一服し、足元ではショートカバー(買い戻し)が入った。一時停戦報道による初期反応が概ね消化され、市場は次の材料待ちとなった。ドル円は158.05円付近まで下押しした後に158.50円前後へ。ユーロドルは1.1709ドルの高値から1.1670近辺へ小反落。欧州株は原油安によるインフレ懸念後退を好感して急伸し、独DAXは一時5%高。英10年債利回りも急低下した。NY時間のFOMC議事録公表を控え、様子見ムードが強まった。
NY市場では、停戦合意を受けてドル安・円高が加速し、ドル円は一時157円台まで下落したが、引けにかけては158円台後半へ戻した。株高・原油安が進み市場に安堵感が広がったものの、協議の不透明感やホルムズ海峡開放の影響など流動的な状況は継続。公表されたFOMC議事録は利上げ・利下げ双方の可能性を残す内容で、FRBの様子見姿勢が示唆された。エネルギー価格下落により欧英の早期利上げ期待はやや後退したが、ユーロドルは1.17ドル台、ポンドドルは1.34ドル台と底堅く推移した。
(9日)
東京市場は、前日の停戦合意によるドル売りが一服し、158円台後半で朝を迎えると、次第にドル高円売りが強まった。イスラエルによるヒズボラへの攻撃激化が報じられ、停戦継続への警戒感が台頭。ドル円は158.95円まで上値を伸ばした。159円の大台を前にいったん158.64円まで押し戻されたが、ロンドン参入にかけて再び158.90円台へ浮上。原油価格が下げ止まる中で楽観論が後退し、ユーロドルは1.1651ドルまで下落するなど、ドルが買い戻される展開となった。
ロンドン市場では、円売りが優勢となった。一時停戦合意にもかかわらず、ホルムズ海峡の封鎖継続やイスラエル・ヒズボラ間の認識の差が露呈。急落していた原油先物が99ドル台へ反発したことを受け、日本の交易条件悪化を懸念した円売りが加速した。ドル円は159円台を回復し159.11円付近まで上昇。ユーロ円は185.70円台、ポンド円は213.20円台へと値を伸ばした。欧州株は反落し、中東情勢の再悪化への懸念が市場を覆う中、米経済指標の発表を待つ状況となった。
NY市場で、ドル円は激しく上下動した。序盤は停戦への楽観後退から円安が進み、159円台へ上昇。しかし中盤、イスラエルがレバノンとの直接交渉に合意したとの報道が伝わると、不透明感が和らぎ一時158.65円付近まで急落した。終盤には再び159円台に戻すなど、ニュースに一喜一憂する展開。一方、ユーロドルはテクニカル的な強さも見せて1.17ドル台へ上昇し、200日線を突破。ユーロ円も186円台まで上昇するなど、円の弱さが際立つ一日となった。
(10日)
東京市場でドル円は底堅く推移。朝方の159円前後から午後には159.34円まで上値を伸ばした。中東情勢の緊迫化に伴うリスク回避のドル買いが継続したことに加え、日経平均の大幅高がリスク選好の円売りにつながった。原油先物が高値圏で安定する中、ドルの押し目買い意欲は根強い。一方、11日に予定される米国・イラン間の和平協議を控え、様子見ムードも強く一方向への動きは限定的となった。ユーロドルなどは小動きで、週末を前に全体として慎重な調整局面が続いた。
ロンドン市場は、中東有事の不透明感や米CPIの大幅上昇観測を背景に序盤こそドル買いが優勢だったが、その後は「ウクライナがロシアとの和平合意に近づいている」との報道をきっかけにユーロ買い主導へ転じた。市場が中東情勢に注視する中での不意打ち的なウクライナ関連報道により、ユーロドルは1.17台乗せへ急伸。これに連れ高する形でポンドも買われ、欧州通貨が全面高の様相を呈している。ドル円は159円台前半で高止まりしており、このあと21時30分に控える3月米CPIの発表に向け、市場は神経質な展開となっている。
NY市場で、ドル円は159円台前半で推移。米3月CPIでは、総合指数がイラン情勢によるエネルギー価格上昇で高い伸びとなった一方、コア指数は落ち着きを見せ、FRBが警戒する二次的インフレ影響は確認されなかった。市場は明日の米イラン和平協議の結果を注視している。一方、ユーロはウクライナ和平交渉の進展期待から買い戻され、ユーロ円はユーロ発足来の高値を更新。ポンドも上昇基調を強め、テクニカル面で下降相場脱却の兆しを見せている。今後の相場は、地政学リスクやエネルギー価格動向に左右される展開が続く見通し。
執筆者 : MINKABU PRESS
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