ドル円、一時155円台 10月分の米雇用統計とCPIは発表なしの可能性=NY為替概況
ドル円、一時155円台 10月分の米雇用統計とCPIは発表なしの可能性=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時155円台を付けた。2月以来の高値。155円付近ではオプション勢などの防戦売りも大量に観測され、その後は伸び悩んだものの、ロング勢は後退する気はなく、上値をうかがう展開を継続。先日のFOMC後のパウエル議長の会見以降、FOMC委員から利下げに慎重な声が相次ぐ中、市場はFRBの12月利下げ期待を後退させている。一方、高市政権誕生で日銀が利上げに慎重姿勢も垣間見せる中、日米の金利差縮小は想定ほど早くはないとの思惑から、市場は円キャリー取引を続けている状況。
米政府機関閉鎖が早ければ本日中にも終結するとの楽観的見方が広がる中、一部からは、発表を延期していた米経済指標の公表が再開されれば、雇用指標を中心にFRBの利下げ観測を後押しするとの見方も出ている。インフレは高水準での推移が継続しているとしても、雇用の冷え込みがFRBの意識を再度利下げに向かわせると見ている模様。もしそうなれば、ドル円も上値は抑えられることになる。
ただ、ホワイトハウスのレビット報道官は10月分の米雇用統計と消費者物価指数(CPI)について、発表されない可能性が高いと述べていた。いずれにしろ、米経済指標の動向待ちの状況ではある。
ユーロドルは1.16ドル台回復を試す展開が見られた。本日の21日線が1.1595ドル付近に来ており、その水準で待機している状況。明日以降、21日線を突破し、1.16ドル台を試す展開になるか注目される。一方、ユーロ円は一時179円台半ばまで上昇し、ユーロ発足以来の高値を更新。円キャリー取引が根強い中、ユーロ円も上値追いを続けている。
テクニカル勢からは、ユーロドルが新たな上昇トレンドを形成しつつある兆しを見せているとの指摘が出ている。最近の取引パターンから前向きなシグナルが確認されており、中長期的には金融政策の方向性の違いがユーロに追い風となる可能性があるという。
ここ数日の傾向として、ユーロはロンドンおよび東京時間では軟調だが、NY時間に入ると強いパフォーマンスを見せている。ただし、ユーロドルが上昇基調を固めるためには、NY時間の強さだけでは不十分で、その後押しは金融政策面からもたらされる必要があるという。FRBは利下げ継続の可能性に対して、ECBは利下げサイクルを終了。市場はまだECBの次の一手が“利上げ”になる可能性を十分に織り込んでいないとの指摘も出ている。
ポンドドルは下げ渋ったものの、一時1.30ドル台まで下落し、上値の重い展開が続いた。前日の英雇用統計が労働市場の冷え込みを示唆したことで、市場は12月の英中銀の利下げ期待を高めている。一方、ポンド円は203円台で推移し、21日線の上をしっかりと維持。
今月下旬に予定される秋季予算案の発表を前に市場が神経質になっている中、政治的な不透明感もポンドの上値を重くしていたようだ。スターマー首相をストリーティング保健相が追い落とそうとしているとの噂が流れ、保健相はその噂を否定した上で、「首相官邸側の側近が自滅的なキャンペーンを仕掛けている」と非難した。首相も自身の進退をめぐる疑惑浮上を受け、結束を呼びかける声明を出している。
だが、労働党内のクーデターを巡る臆測は、リーブス財務相が予算案を発表するまで消えることはないとの憶測も聞かれる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。