ドル円は終始軟調な展開 米政府機関が閉鎖に突入 ADP雇用統計が予想外の減少=NY為替概況
ドル円は終始軟調な展開 米政府機関が閉鎖に突入 ADP雇用統計が予想外の減少=NY為替概況
きょうのNY為替市場、米政府機関が閉鎖に突入し、ドル円は終始軟調な展開だった。この日発表の9月のADP雇用統計で雇用者数が予想外の減少となり、前回分も減少に下方修正されたことで下げを加速させていた。ドル円は一時146円台に下落する場面も見られた。
短期金融市場ではFRBの利下げ確率を高めており、約90%の確率で年内2回の利下げを織り込んでいる。発表前は73%程度だった。米政府機関が閉鎖しており、金曜日の米雇用統計の発表が延期となりそうな中、本日のADP雇用統計はいつも以上に重要な手掛かりとして注目されていた。
米政府機関の閉鎖だが、上院でのつなぎ予算案に数名の民主党議員が賛成票を投じていたこともあり、短期間で終了との見方がある一方、今回は数多くの経済要因が重なりリスクが大きいとの指摘も聞かれる。労働市場の減速やインフレ懸念、歴史的な高バリュエーションと市場の集中度の高さが投資家心理を圧迫。議会予算局(CBO)は閉鎖により約75万人の連邦職員が一時休職になると推定。さらにトランプ大統領が恒久的な大量解雇に言及したことで、新たな経済リスクも加わっている。
ドル円は21日線も下放れ、一気に146円台半ばの100日線に再接近していた。しかし、米株式市場がプラスに転じるなど、意外に市場は落ち着いた反応を見せており、ドル円も147円台に戻している。100日線と200日線のレンジ内での攻防戦となっているが、どちらに抜けるのか、なお未知数の状況。
ユーロドルはロンドン時間に1.1780ドル近辺まで上昇していたものの、NY時間に入って戻り売りに押される展開。ユーロ発の材料はなく、専らドルの動きに左右されているが、市場は全体的に米政府機関閉鎖の影響を楽観視しており、ドルが買い戻されている。
本日は9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が公表されていたが、前年比2.2%と前回から伸びが拡大していた。ただ、ECBの目標から大きくは乖離しておらず、ECBに金利見通しの見直しを促すほどではないと見られている。ECBの利下げサイクルは終了との見方が有力視されているようだ。
ポンドドルは一旦1.35ドル台に上昇し、100日線と21日線を回復していたものの、NY時間に入って1.34ドル台に戻す展開。一方、ポンド円は円高の動きもあり、197円台に下落していたものの、198円台に下げ渋った。ただ、下値模索は続いており、100日線が控える197.65円付近を視野に入れた動きが続いている。
本日はタカ派として知られるマン英中銀委員の講演が伝わっていたが、インフレや経済活動を踏まえると、金融政策は依然として「比較的緩和的」な状態にあると述べ、追加利下げに慎重な姿勢を示唆している。
市場では現在、インフレは依然として高く追加利下げへの期待は後退させているものの、景気への懸念から可能性は残している。ただ、年内の可能性は低く、早くても来年第1四半期の利下げを有力視している状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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