【これからの見通し】トランプ発言で米国売りは一服も、市場のボラタイルな状況は継続
【これからの見通し】トランプ発言で米国売りは一服も、市場のボラタイルな状況は継続
東京市場では全般にリスク動向が落ち着いている。日本・アジア株は全般に買われている。米債利回りは低下しており、米国売りの状況は解消されている。為替市場ではドル円の反発を受けてドル指数が上昇している。トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任についての発言を否定したことや、中国との貿易戦争が緩和する見通しを示したことなどが市場にひとまず安心感を与えたようだ。
ただ、昨日のIMF世界経済見通しは、世界的な経済成長や貿易の伸び鈍化が示されていた。トランプ政権の通商政策が不透明感を広げており、自由な貿易や投資を阻害することが警戒されている。
不確実性が高いトランプ大統領の政策や言動とあって、株式や為替相場のボラティリティーは下がり切れない状況となっている。トランプ政権発足以来、このような状況が続いており、いわゆるデートレーダー向けのマーケットとなっている。数カ月程度の中期的な取引戦略が見立てにくく、かなり腰を据えた長期投資姿勢でなければストレスの高いマーケット状況になっている。それは、各国中銀にとっても同様で、待ちの姿勢や会合ごとに判断といった不透明な状態になっている。
目下の注目イベントは、あす24日の日米財務相会談となりそうだ。市場は米国からの円安是正要求を恐れており、ドル円の反発を抑制しているようだ。財務相会談前後のトランプ発言にも注意が必要だろう。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国などのPMI速報値(4月)、ユーロ圏貿易収支(2月)、ユーロ圏建設業生産高(2月)、南ア消費者物価指数(3月)、香港消費者物価指数(CPI)(3月)、米MBA住宅ローン申請指数(04/12 - 04/18)、米新築住宅販売件数(3月)などが予定されている。一連のPMIでトランプ相互関税をはじめとした一連の通商政策への懸念がどの程度示されるのかを確認したい。
発言イベント関連では、ECB賃金トラッカー(第1四半期)が公表されるほか、クノット・オランダ中銀総裁、ピル英中銀チーフエコノミスト、グールズビー・シカゴ連銀総裁、ムサレム・セントルイス連銀総裁、ウォラーFRB理事、ベイリー英中銀総裁、ブリーデン英中銀副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、レーンECBチーフエコノミスト、チポローネECB理事、ブロック豪中銀総裁、ハマック・クリーブランド連銀総裁など多くの中銀当局者の講演やイベント参加が予定されている。NY午後には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される。米2年変動利付債(FRN)(300億ドル)と米5年債(700億ドル)の入札が実施される。米企業決算では、ボーイング、IBM、テキサスインスツルメンツ、AT&Tなどが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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