【これからの見通し】今週はにわかに円買いがクローズアップされる 追加利上げ観測高まる
【これからの見通し】今週はにわかに円買いがクローズアップされる 追加利上げ観測高まる
トランプ関税をめぐる混乱を経て、今週はにわかに円買いの動きがクローズアップされている。その背景には、賃金や物価の上昇に基づいた一連の日銀当局者のタカ派発言がある。植田日銀総裁が現在はインフレであると確認、それに対して石破首相はデフレ脱却やインフレについてお茶を濁した。しかし、昨日は給与や賃金の伸びが統計で示されると、赤沢再生相がインフレとの認識で植田総裁と齟齬ない、と発言。そして、本日はタカ派で知られる田村日銀審議委員が年内1%への利上げとなる可能性を示唆した。
ドル円は月曜日につけた156円手前水準を高値に、きょうの東京市場では151.80台まで一時下落している。かなりの値幅となっているが、財務相や財務官などからは値動きに関するコメントはでていない。日経平均が崩れていないこともあり、当局者は円高の行方を見守る姿勢となっているようだ。
円高については、米中貿易戦争が長引くようだと、リスク警戒感を高めて円買い圧力となりやすい面も指摘しておきたい。
この後の海外市場では海外勢が円高の動きを一層強めてくるのかが注目されよう。テクニカルポイントである200日線は152.80近辺に位置しており、この水準がレジスタンスとして機能するのかどうかをチェックしておきたい。
この後の海外市場では英中銀の金融政策発表、米雇用関連指標などが注目されそうだ。英中銀は25bpの利下げが市場に織り込まれている。投票メンバーの票割れは8対1との予想が優勢。据え置き派が増えるようだとポンド買い反応が想定される。きょうはインフレ予測やベイリー英中銀総裁会見も予定されるスーパーサーズデーとなる。ECBのハト派姿勢との対比でユーロ・ポンド相場が動意を見せる場面もありそうだ。この点については、ベイリー総裁が次回利下げを明言するのかどうかがポイントとなろう。
米経済指標ではチャレンジャー人員削減数(1月)、非農業部門労働生産性指数(速報値)(2024年 第4四半期)、新規失業保険申請件数(01/26 - 02/01)などが発表される。明日の米雇用統計の前哨戦としてその強弱を確認しておきたい。新規失業保険申請件数は21.3万件と前回の20.7万件からの増加が予想されている。ただ、趨勢的には漸減する動きがみられており、大きく上方乖離する結果とならなければ、強い労働市場が示されそうだ。
欧州ではスイス失業率(1月)、ドイツ製造業新規受注(12月)、ユーロ圏小売売上高(12月)、スウェーデン消費者物価指数(CPI)(速報値)(1月)、チェコ中銀政策金利などが発表される。NY時間にはカナダIvey購買部協会指数(1月)、メキシコ中銀政策金利などの発表も予定されている。
発言イベント関連では、ナーゲル独連銀総裁、ウォラーFRB理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、マックレム加中銀総裁などが国際決済銀行(BIS)主催「中央銀行デジタル通貨」イベントに参加する。NY夜にはローガン・ダラス連銀総裁が金融政策の今後の課題について講演する。イーライリリー、アマゾンドットコム、マイクロチップテクノロジー、ピンタレストなどの決算発表が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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