FX/為替「ドル/円、石破ショックは一巡 焦点は米労働市場の動向へ」 外為どっとコム トゥデイ 2024年10月1日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年10月1日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼30日(月)の為替相場
(1):中国製造業PMIはまちまちの結果
(2):英GDPは下方修正
(3):独CPIは伸びが鈍化
(4):ECB総裁 10月の利下げを示唆
(5):FRB議長発言を機に大幅利下げ観測後退
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米労働関連指標で大幅利下げ観測再燃なるか?/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
30日(月)の為替相場
期間:30日(月)午前7時00分~1日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国製造業PMIはまちまちの結果
中国9月製造業PMIは49.8と市場予想(49.4)を上回り、前回(49.1)から上昇。その後に発表された中国9月財新製造業PMIは49.3と市場予想(50.5)および前回(50.4)を下回った。
(2):英GDPは下方修正
英4-6月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.5%となり、速報値(+0.6%)から下方修正された。
(3):独CPIは伸びが鈍化
独9月消費者物価指数(CPI)・速報値は前月比±0.0%、前年比+1.6%だった(予想+0.1%、+1.7%)。欧州連合(EU)基準のCPIは前年比+1.8%と予想通りに前月(+2.0%)から伸びが鈍化した。
(4):ECB総裁 10月の利下げを示唆
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は欧州議会で発言。「直近2カ月でディスインフレ(インフレ鈍化)は強まった」「インフレ目標の2%を速やかに達成できる確信がより増した」とした上で「次回の会合でこれを考慮する」と述べて10月の利下げを示唆した。
(5):FRB議長発言を機に大幅利下げ観測後退
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「政策は時間をかけて中立的姿勢に移行する」「経済は堅調、その水準を維持するために手段を使うつもりだ」などと発言。ただ、「我々はあらかじめ決まった道筋を進んでいるのではない」「入手するデータに基づき会合ごとに判断を下していく」として、利下げを急がない考えをあらためて示した。これを受けて11月会合における50bp(0.50%ポイント)利下げの観測が後退。米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。
30日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米労働関連指標で大幅利下げ観測再燃なるか?
昨日のドル/円は終値ベースで1.0%上昇。東京時間には日経平均株価の大幅な下落を背景に一時141.65円前後まで下落した。ただ、海外時間に入ると米10年債利回りが上昇に転じたことでショートカバーが先行。月末・期末のロンドンフィキシングに絡むドル買いが持ち込まれたほか、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が大幅利下げ観測を否定する見解を示したことで143.91円前後まで上昇する場面も見られた。
石破氏の自民党総裁選勝利を受けた反応は一巡したと考えられる。本日の臨時国会で石破氏が首相に指名される見通しだが、市場の反応は限定的となりそうだ。
昨日、パウエルFRB議長は現時点での大幅利下げ観測については否定的な見解を示したが、「最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう」とデータ次第の姿勢は維持した。これらの発言を受けて、短期市場が織り込む11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp(0.50%ポイント)利下げの可能性は50%強から30%強まで低下している。本日のNY時間には米8月JOLTS求人件数や米9月ISM製造業景況指数が発表される。FRBの焦点が米国の労働市場に向いていることから、これらの経済指標が米労働市場のさらなる悪化を示唆する結果となれば、11月FOMCでの大幅利下げ観測が再び高まることになりそうだ。
注目の経済指標:ISM製造業景況指数
注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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