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【来週の注目材料】FOMCはここにきて利下げ幅見通しが分かれる

為替 

見通し揺れる米FOMC


 17日、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。2020年3月に新型コロナのパンデミックを受けて政策金利を事実上のゼロまで引き下げて以来の利下げ実施がほぼ確実となっています。
 注目は利下げの幅となります。

 もともと今回のFOMCに関しては0.25%の利下げ見通しが大勢となっていました。しかし、物価の鈍化、雇用市場の予想以上の後退などを受けて大幅利下げを見込む動きが一部で見られました。
 そうした中、4日に発表された7月のJOLTS(雇用動態調査)求人件数が予想をはるかに下回る767.3万件となり、6月の数字も818.4万件から791.0万件まで下方修正される弱いものとなり、大幅利下げ期待が台頭。一時0.25%と0.50%の利下げ見通しが拮抗する状況が見られました。
 行き過ぎた期待感への警戒感もあって、その後0.25%利下げ見通しが優勢となり、6日の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回っても、大きな流れは変わらず65%が0.25%利下げ、35%が0.50%の利下げを見込むなどの動きが見られました。
 11日の8月米消費者物価指数はほぼ予想通りも食品・エネルギ-を除くコア前月比が+0.3%と予想の及び7月分の+0.2%を上回りました。これを受けて大幅利下げ期待が後退。85%が0.25%見込み、15%が0.50%見込みと、0.25%をほぼ織り込む動きとなりました。
 
 しかし12日海外市場で状況が一変します。米WSJ紙のFRB担当記者が今回のFOMCについて0.25%と0.50%で決めかねていると報じました。13日には前NY連銀総裁のダドリ-氏が0.50%利下げの可能性に言及しています。

 こうした状況を受けて0.50%の大幅利下げ見通しが台頭。依然として0.25%利下げ見通しが大勢も、0.50%見通しが40%台まで上昇しています。

 FOMC前のブラックアウト期間のため、発表までFRB関係者発言は予定されていません。かなり不安定な動きが見込まれます。

 FOMC前の注目は17日の8月米小売売上高です。米国はGDPの約7割が個人消費となっており、個人消費動向が景気に密接に結びついています。労働市場の低迷は個人消費を押し下げる要因となりますので注意が必要です。

 市場予想は前月比-0.2%と前回からマイナス予想となっています。
ガソリン価格の低下を受けたガソリンスタンド売り上げの低迷が見込まれているほか、自動車販売も厳しい数字となる見込み。8月の自動車販売は台数自体は7月から増加する見込みですが、CPIベ-スで新車販売は6カ月連続で価格が低下。中古車に至っては22カ月連続でのマイナス圏で直近3カ月は10%超の下げとなる中、売上高では厳しい数字となりそうです。

 なお、自動車を除く前月比は+0.2%と7月の+0.4%から小幅鈍化もしっかりとした水準。自動車とガソリンを除いたコア指数は前月比+0.3%と8月の+0.4%には届かないものの、比較的しっかりの伸びが見込まれています。

 予想を下回るような弱さを見せると、大幅利下げの期待がもう一段強まる可能性があります。0.50%利下げ見通しが50%を超え、多数派になるようだとドル売りが強まる可能性があります。

 FOMCの結果については、見通しが分かれた分、0.25%利下げの実施でドル買い、0.50%利下げの実施でドル売りの反応が見込まれます。また、今後についても注目が必要です。今回は四半期に一度示されるFOMCメンバ-による経済見通し(SEP)が公表される回にあたっています。特に年末時点での政策金利見通しをドットで示すドットプロットが注目されます。

 前回のドットプロットでは2024年末の政策金利見通しについて、4.75-5.00%が8名、5.00-5.25%が7名、5.25-5.50%が4名となり、5.00-5.25%が中央値として示されました。2025年末は2.75-3.00%が1名、3.50-3.75%が1名、3.75-4.00%が2名、4.00-4.25%が9名、4.25-4.50%が4名、4.75-5.00%が1名、5.25-5.50%が1名と上下に大きなブレを見せ、中央値は4.00-4.25%となりました。

 現在市場では2024年末は4.00-4.25%と4.25-4.50%が拮抗(若干4.00-4.25%が優勢)、2025年末時点では2.75-3.00%が大勢という状況となっており、前回のSEPと大きな乖離が生じています。どこまでこの乖離が調整されるのかがポイントとなります。

 なお、19日、20日には日銀金融政策決定会合が予定されています。ここにきて日銀審議委員からはタカ派・ハト派問わず今後の利上げに向けた姿勢が示されています。ただ、いずれも経済・物価が見通し通り進めばという前提に立っており、今回は据え置きで見通しが一致しています。波乱要素は少ないとみられます。

MINKABUPRESS 山岡

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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