ドル買い戻しが優勢でドル円は143円台回復=NY為替概況
ドル買い戻しが優勢でドル円は143円台回復=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル買い戻しが優勢となりドル円は143円台を回復した。先週の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回るなど米労働市場の冷え込みを示したものの、市場が警戒していた今月のFOMCでの大幅利下げまではないとの見方が優勢となっている。
今週の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)の発表次第ではあるが、通常の0.25%ポイントの利下げ期待で来週のFOMCを待つことになりそうだ。短期金融市場では次回FOMCで0.25%ポイントの確率を70%程度、0.50%ポイントの大幅利下げを30%程度で織り込んでいる。
先週のドル円は141円台に下落し、8月初めにつけた年初来安値に顔合わせしていた。米株式市場の調整が強まったことでリスク回避の円買いが強まり、ファンド勢の売りも観測。ただ、本日はその動きも一服しており、143円台まで買い戻された。
ただ、先週の動きを経て上値が重くなっている印象は否めず、140円割れを試しに行くとの見方は根強い。円高はまだ始まったばかりとの指摘も出ている。
ユーロドルは戻り売りが続き、1.1035ドル付近まで下落。先週に下値をサポートしていた1.1025ドルと心理的節目の1.10ドルが、目先の下値メドとして意識される。今週はECB理事会が12日木曜日に開催されるが、0.25%ポイントの利下げが確実視されている。
ECBの利下げは市場が織り込んでいるよりも小さくなる可能性が高く、これはユーロ押し上げにつながるとの指摘も聞かれる。短期金融市場では来年6月末までのECBの利下げ幅を計約1.50%ポイントと見込んでいる。ただ、ユーロ圏のコアインフレ率、サービス価格と賃金の上昇率が依然として高いことを踏まえると、これは楽観的過ぎるように思われるという。
ECBは今週の理事会で0.25%ポイントの利下げを実施する見通しだが、声明やラガルド総裁の文言は行動ほど著しくハト派的ではない可能性があるという。また、声明では「特定の金利の道筋をあらかじめコミットするものではない」と改めて表明する公算が大きいとも指摘した。
ポンドドルは1.30ドル台に下落し、本日1.3070ドル付近に来ている21日線に顔合わせしている。本日は東京時間の早朝に英求人雇用連盟(REC)が8月の雇用情勢を公表していたが、継続雇用が44.6と急速に低下していた。判断の目安である50も下回り続けている。
ポンドの反応は限定的だったものの、一部からはこの調査結果は英中銀の利下げに対する市場の価格設定が保守的過ぎることを示唆しているとの見解も出ていた。短期金融市場では来週の英中銀の金融政策委員会(MPC)での利下げ確率が20%程度となっているが、実際はそれよりも遥かに高いという。
今週は英重要指標が目白押しだが、明日の英雇用統計と水曜日の月次GDPの発表を前にポンドのリスクは下落に偏っているとも指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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