ドル円は下値模索が続き一時142円台に下落 明日の米雇用統計を前に神経質な展開=NY為替概況
ドル円は下値模索が続き一時142円台に下落 明日の米雇用統計を前に神経質な展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場、明日の米雇用統計を前に神経質な取引となる中でドル円は下値模索が続き、一時142円台に下落する場面が見られた。この日発表の8月のADP雇用統計が予想を下回ったことでドル売りが強まり、ドル円も下げ幅を拡大した。しかし、後半には買い戻しも入り、144円台に戻す場面も見られた。
ドル円は21日線で上値を抑えられ、本日は8月26日の直近安値143.45円を一時下回ったことから、下げを加速させそうな気配が見られている。その143.45円の水準を完全にブレイクするようであれば、8月初めの混乱時の安値141.70円を試しに行く可能性も高まる。
前日の米求人件数が予想以上の減少を示したことから、米国債利回りの急低下と伴にドル円も売りが強まった。今月のFOMCでの大幅利下げの可能性も再び台頭する中で、市場は明日の米雇用統計を待っている。
オプション市場では米雇用統計が弱い内容で8月初めのようにドル円のボラティリティが高まった場合に備えたポジションを組むファンドも散見されている。いずれにしろ、ドル円は明日の米雇用統計を前に下値警戒感が非常に高まっているようだ。
ユーロドルは1.11ドル台に買い戻された。ユーロ自体の材料はない中、専ら米経済指標を受けたドルの要因で動いているようだ。ただ、21日線の水準はしっかりと堅持しており上向きの流れは継続している。
9月のユーロは上昇余地が限定的になる可能性があるとの指摘も出ている。例年9月はユーロドルと貿易加重平均のユーロにとって悪い月であることから、今年もユーロの上昇余地は限定的になる可能性があるという。背景は不明だが、ユーロドルに関しては6月末を決算期末とする米企業にとって9月15日は米国の法人税申告期限であることが関係している可能性があるという。
明日の米雇用統計で失業率が急上昇しない限り、ユーロドルは1.05ー1.12ドルという18カ月間のレンジを完全に上抜けることは難しいだろうと述べている。
ポンドドルは1.3175ドル付近での底堅い推移が見られた。市場はFRBの利下げ期待を拡大させ、ECBも来週の理事会で利下げが確実視される中で、英中銀は据え置きが見込まれており、その差がポンドを下支えしている状況に変化はない。
米大手銀が8月の英消費者信頼感調査の結果を公表しており、8月は悪化したと指摘している。そのうえで年前半に記録された予想以上の経済成長は減速する可能性が高いと述べた。米大手銀のエコノミストは「全体的な傾向としては今後数カ月の失業率は低下するものの、8月の失業率の見通しは僅かに上昇した」と述べている。これは最近の労働市場と賃金上昇の鈍化が停滞するリスクを高め、積極的な利下げを難しくする可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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