FX/為替「ドル/円、米利下げ織り込みの後退が追い風に」 外為どっとコム トゥデイ 2024年8月9日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年8月9日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼8日(木)の為替相場
(1):日銀「主な意見」公表
(2):RBA総裁「必要ならためらわない」
(3):米新規失業保険申請件数が減少
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:上値余地を探る展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
8日(木)の為替相場
期間:8日(木)午前6時10分~9日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀「主な意見」公表
日銀は、追加利上げを決めた7月30-31日の金融政策決定会合における「主な意見」を公表。「0.25%という名目金利は、引き続き、極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない」「緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない」などと、小幅な利上げは経済に悪影響を及ぼさないとの意見が目立った。さらに一部のメンバーからは「今回の政策変更後も、物価が見通しに沿って推移するもと、そのつど、金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要だ」「政策金利を中立金利まで引き上げていくべきだ。中立金利は最低でも1%程度とみているが、経済・物価の反応を確認しつつ、適時、段階的に利上げしていく必要がある」などと追加利上げに前向きな意見が出ていた。
(2):RBA総裁「必要ならためらわない」
豪中銀(RBA)のブロック総裁は、インフレの上振れリスクに警戒感を示した上で「必要なら利上げをためらわない」と発言。政策金利を据え置いた6日の理事会について「妥当な時間枠の範囲内でインフレの低下が続くよう確実を期すため、再利上げが必要かどうかはっきり検討した」と明らかにした。
(3):米新規失業保険申請件数が減少
米新規失業保険申請件数は23.3万件と市場予想(24.0万件)を下回り、前週の25.0万件から大幅に減少した。2日の7月雇用統計を受けて高まっていた米国の労働市場を巡る懸念が和らぐとドル買いが強まった。なおその後、米リッチモンド連銀のバーキン総裁は「労働市場の減速は解雇の増加ではなく雇用の伸び鈍化によるもの」とし「雇用の伸びは鈍化しているものの、雇用は依然増えているほか、賃金の伸びも減速しており、労働市場の正常化を示唆している」と述べた。
8日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:上値余地を探る展開
昨日のドル/円は147円台を回復。145円台と146円台の往来が続いていたが、米新規失業保険申請件数が予想以上に減少すると147.55円前後まで上昇し、147.28円前後でクローズした。先週2日の米7月失業率の悪化で労働市場の急減速に対する不安が高まっていただけに、新規失業保険申請件数の減少は市場に安心感を与えたようだ。米国株も主要指数が揃って上昇した。このまま市場が落ち着けば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを巡る過度な織り込みが後退する動きが続き、ドル/円の追い風となろう。
なお、現時点で米金利先物は9月の利下げを100%織り込んでおり、利下げ幅が通常の25bp(0.25%ポイント)ではなく50bp(0.50%ポイント)になるとの見方が6割近くに達している。さすがに「緊急利下げ」の思惑は後退したようだが、「大幅利下げ」の思惑は依然として残っていることになる。9月の利下げ幅を巡る市場の見方が通常の25bpに傾くだけでもドルが買われやすい地合いと言えるだろう。本日のドル/円は、主要国の株式市場が崩れなければ上値余地(戻り余地)を探る展開を予想。まずは3連休を控えた日本株の動きに注目したい。
注目の経済指標:中国CPI
注目のイベント:特になし
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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