FX/為替「ドル/円162円が視野 「もしトラ」はドル高要因との見方強まる」 外為どっとコム トゥデイ 2024年7月2日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年7月2日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼1日(月)の為替相場
(1):仏総選挙 過度の懸念が後退しユーロ買い戻し
(2):日銀短観 大企業製造業DIは予想を上回る
(3):独CPIは鈍化
(4):ISM製造業は3カ月連続の低下
(5):「もしトラ」でドル高
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:急ピッチでドル高・円安が進む公算は小さい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
1日(月)の為替相場
期間:1日(月)午前7時00分~2日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):仏総選挙 過度の懸念が後退しユーロ買い戻し
前日30日に投開票されたフランス総選挙の第1回投票は下馬評通りに極右勢力が優勢となった。ただ、マクロン大統領の与党連合は7日の決選投票に向けて、野党・左派連合との候補者の一本化に動き始めた。これによって極右勢力の単独過半数は避けられるとの見方が広がり、ユーロを買い戻す動きが強まった。ユーロ/円は前週末の終値から上方向に「マド」を空けて取引が始まった。
(2):日銀短観 大企業製造業DIは予想を上回る
4-6月期日銀短観は大企業製造業DIが13と市場予想(11)を上回った。大企業非製造業DIは33と予想通りで小幅ながらも16期ぶりの悪化となった。なお、事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業)は2024年度通期で1ドル=144.77円と、前回調査の141.42円から3円以上円安方向に振れた。
(3):独CPIは鈍化
独6月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+2.2%と市場予想(+2.3%)を小幅に下回った。欧州連合(EU)基準CPIは前年比+2.5%と予想通りに前月(+2.8%)から鈍化した。
(4):ISM製造業は3カ月連続の低下
米6月ISM製造業景況指数は48.5と市場予想(49.1)を下回り3カ月連続で低下。構成指数では「仕入価格」が今年最低となった一方、「新規受注」は3月以来の水準に上昇した。
(5):「もしトラ」でドル高
米連邦最高裁は2020年の大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴されていたトランプ氏に対し、同氏が主張していた「免責特権」を部分的に認める決定を下した。これにより、11月の大統領選挙前に公判が開始される可能性はほぼなくなった。市場はトランプ氏の米大統領返り咲きを意識。米債利回りはインフレリスクを警戒する形で上昇し、為替はドル高に振れた。ドル/円は1986年以来の161円台後半へ上昇したが、クロス円はストレートドルの下落を受けて弱含んだ。
1日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:急ピッチでドル高・円安が進む公算は小さい
昨日のドル/円は38年ぶりの高値を再び更新。トランプ氏が米大統領に返り咲けば、減税や移民排斥、関税強化などでインフレが高進するとの見方から米長期金利が上昇する中、1986年12月以来の高値となる161.73円前後までドル買い・円売りが進んだ。トランプ氏については、2020年の大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された刑事事件を巡り、連邦最高裁はトランプ氏の「免責特権」を部分的に認める決定を下した。これにより、11月の大統領選より前に公判が開かれないことがほぼ確実となった。市場はトランプ氏の大統領返り咲きを念頭に置きつつ、ドルの先高観を強めている模様だ。もっとも、昨日発表された米6月ISM製造業景況指数が3カ月連続で低下するなど、これまで好調を維持してきた米国経済に息切れ感が出ているのも事実だろう。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを巡り、今週5日に発表される米6月雇用統計にはより大きな注目が集まりそうだ。
なお、本日は米5月JOLT求人件数の発表が予定されており、約3年ぶりの低水準だった前月からさらに10万件前後減少すると見られている。ドル/円は上値試しの時間帯が続いており、162円台乗せも視野に入ってきたが、米経済の先行きに不透明感が生じているほか、日本政府・日銀による円買い介入への警戒感がくすぶっていることから、急ピッチでドル高・円安が進む公算は小さいだろう。
注目の経済指標:米JOLT求人件数
注目のイベント:FRB議長、ECB総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。