まもなくFOMC議事録 反応は限定的か
このあと4月30日、5月1日分のFOMC議事録が公表される。パウエル議長は会見で予想以上にハト派な発言をしていたが、その理由が明らかになることが期待される。雇用にさほどコストをかけずにインフレを低下させることができると考えていることが示されると予想される。
手掛かりの1つは移民であろう。移民はインフレを押し上げることなく経済成長を支える重要な要因として、議論の中で何度か引用されていると予想される。パウエル議長は、移民の増加がパンデミック以前に比べて潜在成長率を押し上げたと確信しているようだ。
年初の高いインフレ指標がディスインフレへの自信を減退させたことを示すと思われる。また、金融市場への潜在的な混乱を最小限に抑えるためには、量的引締め(QT)のペース縮小が適切であるとのコンセンサスも得られただろう。
中立金利について精力的に議論したことも示唆されると見られている。前回のFOMC以降、少なくとも4人名のFOMC委員が中立金利がパンデミック前よりも高くなっている可能性を示唆している。
議事録では大半の委員が政策金利は制限的領域にあると見ていることが示されるであろうが、中立金利についてコンセンサスが得られていないことは、金利が十分に制限的であるかどうかについての本質的な不確実性を示唆している。
パウエル議長は、かつては委員の中でも中立と見られていたが、最近の発言などからは、ハト派よりに傾いており、有利な供給サイドの要因がインフレを痛みを伴わずに低下させることができるという考えを他のメンバーよりも信頼している可能性もありそうだ。
ただ、市場の想定外の内容が出る可能性も低く、反応は限定的になる可能性も留意される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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