FX/為替「ドル/円、34年ぶり153円台 「介入」が最大の焦点に」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月11日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月11日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼10日(水)の為替相場
(1):植田日銀総裁 衆院財務金融委員会で答弁
(2):強い米CPIで152円突破
(3):FOMC議事録公表
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:いきなり介入を実施する可能性も/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(水)の為替相場
期間:10日(水)午前6時10分~11日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):植田日銀総裁 衆院財務金融委員会で答弁
日銀の植田総裁は衆院財務金融委員会で「基調的な物価上昇率が2%に向けて持続して上がっていくことをサポートするために当面は緩和的な金融環境が継続する」と述べた。その上で「基調的な物価上昇率が見通し通りに上がっていくのであれば、緩和の度合いを縮小していくのが適切になる」との見解を示した。
(2):強い米CPIで152円突破
米3月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%、前年比+3.5%と市場予想(+0.3%、+3.4%)を上回り、前年比の伸びは2カ月連続で加速した。食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.8%で高止まりした(予想+3.7%、前回+3.8%)。これを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の6月利下げ観測が急速に後退。利下げ開始が9月に後ずれするとの見方が米債市場で強まる中、ドル買いが活発化した。ドル/円は本邦当局の「防衛ライン」と見られていた152.00円を突破したことで上昇に弾みが付いた一方、ユーロ/円などのクロス円はユーロ/ドルなどのストレートドルが下落した動きにつれて軟化した。
(3):FOMC議事録公表
FRBは3月19-20日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表。「ほぼ全員が年内のいずれかの時点で借り入れコストを引き下げ始めるのが適切になると判断した」としつつも、「参加者は総じて、根強い高インフレを巡る不確実性を指摘し、最近のデータはインフレが持続的に2%に低下するという確信を強めるものではないという見解を示した」「一部の当局者は、金融政策が望ましい水準ほど制約的でなく、そのため総需要に勢いが増し、インフレに上昇圧力がかかるリスクがあると指摘した」ことなどが明らかになった。
10日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:いきなり介入を実施する可能性も
昨日のドル/円は34年ぶりの153円台へ上伸。米3月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始がさらに後ずれするとの見方からドル買いが強まった。日本政府・日銀の防衛ラインと見られていた152.00円を突破したことで上昇の勢いが増すと153.23円前後まで上値を伸ばして1990年6月以来、およそ34年ぶりの高値を付けた。
本日は、円買い介入の有無が最大の焦点となりそうだ。ある情報筋によれば、今朝方、介入当局者の一人が「これはレート・チェックぐらいでは止まりそうにない」との見方を示したとのことだ。レート・チェックやけん制発言なしに、いきなり介入を実施する可能性もないとは言えないだろう。介入では円安(というよりドル高)の流れを変えることはできないと見るが、2022年秋の介入のように一度に数兆円規模を投入すればドル/円で5円前後の下押しが一時的に発生する公算が大きい。ドル/円は、政府・日銀による介入がなければ、調整売りで下落しても152円台半ばで下げ渋るだろう。
注目の経済指標:米PPI
注目のイベント:ラガルドECB総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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