ドル円は一時145円台まで下落 上値が次第に重くなってきている雰囲気も=NY為替概況
ドル円は一時145円台まで下落 上値が次第に重くなってきている雰囲気も=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は一時145円台まで下落。この日発表のISM製造業景気指数が予想を上回る内容となったことから、買い戻しも見られていたものの上値は重い印象。
前日はパウエルFRB議長がFOMC後の会見で、3月利下げ期待を明確に否定してきたことでドルの買い戻しが強まり、ドル円も買い戻されていた。しかし、上値が次第に重くなってきている雰囲気もある中で、下値模索は続いている。
もともと市場の3月利下げ期待が行き過ぎだった面は否めないが、市場の早期利下げ期待は根強く、短期金融市場では5月の利下げ開始を95%の確率で織り込んでいる状況。3月は37%程度に低下。
本日の21日線が146.65円付近に来ており、それを下回る動きが出ている。明日は米雇用統計が控えているが、それを受けて下放れるようであれば、本日144円台半ばに来ている200日線を視野に入れそうな気配も出ている。
本日も予想を上回る米新規失業保険申請件数が発表になっていたが、今週発表の米雇用指標が労働市場の冷え込みを示す中で、明日の米雇用統計への警戒感もあるようだ。
ユーロドルは1.08ドル台後半に買い戻された。本日のユーロドルは一時1.07ドル台に下落し、100日線に顔合わせする場面も見られていたものの、その水準はサポートされ、200日線を上抜く動きが出ている。1.09ドルちょうど付近に21日線が来ており、目先の上値メドとして意識されるが、明日の米雇用統計を受けて突破して来るか注目される。
本日は1月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表され、前年比では予想を上回っていた。前月比では低下していた。市場はECBの利下げ開始を4月か6月かで見解が分かれているが、本日のインフレ指標からすると、6月との見方が正当化される。
ただ、市場の反応は限定的で、短期金融市場では今年ほぼ6回の0.25%ポイントの利下げ期待を変えておらず、4月の利下げの確率も90%近くで変化はない。
ポンドドルは1.27ドル台半ばに買い戻された。本日は一時1.26ドル台前半に下落していた。きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が公表され、大方の予想通りに政策は据え置きとなった。声明やベイリー英中銀総裁の会見などで、市場の早期利下げ期待も予想通りに否定していた。
注目は委員の投票行動。6対3での据え置きとなったが、2名が利上げを主張し、1名が利下げを主張していたことが明らかになっている。それを受けて一部からは、委員の意見の分断はポンドにとって重石との指摘も出ていた。
短期金融市場では利下げ期待が若干後退しているものの、6月までの利下げ開始の確率を完全に織り込んでいる状況に変はない。景気軟化とインフレ鈍化により、英中銀は利下げに踏み切ると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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