ドル買い優勢に ドル円は結局148円台に戻す=NY為替概況
ドル買い優勢に ドル円は結局148円台に戻す=NY為替概況
きょうのドル円は東京時間に瞬間的に146円台に下落する場面が見られたものの、海外市場に入ると買い戻しが強まり、148円台に戻している。NY時間に入ってドル買いが強まったことから148円台半ばまで上げ幅を拡大した。本日の値動きで100日線がサポートされ、目先は先週の高値148.80円付近が意識されそうだ。
きょうは日銀決定会合の結果が発表され、植田総裁の会見も行われた。それを受けて円相場は円高の動きが強まった。総裁は会見で「2%目標への確度は少しずつ高まっている」との認識を示した。展望レポートでも「見通しが実現する確度が少しずつ高まっている」との表現を追加した。これらが、日銀はマイナス金利解除に前向きと受け止められ、円高を誘発したようだ。
短期金融市場では4月までのマイナス金利解除の確率を50%程度まで上昇させ、6月までの解除をほぼ織り込む展開を見せている。前日までは7月までを完全に織り込む状態だった。
ただ、マイナス金利を解除したからといって、その後に日銀が0.25%、0.50%と積極的に誘導目標を引き上げて行くと見ている市場参加者は少なく、限界があると見られているようだ。一方、FRBの早期利下げ期待が後退する中で、ドル買い圧力はまだ根強く、ドル円は下値をサポートされている。150円を再び試に行くとの見方も少なくないようだ。
ユーロドルは一時1.0820ドル付近まで下落し、6週間ぶりの安値を更新。米株式市場が上げ一服となり、リスク回避のドル買いも出ていたようだ。
今週はECB理事会が25日木曜日に開催されるが、データ次第のアプローチを強調する可能性が高いとの見方が出ている。今回の理事会は金利据え置きが確実視されているが、短期金融市場では4月の利下げ開始を予想している。市場予想では、今年4月頃から年内に約1.40%ポイントの利下げが実施され、2025年の中銀預金金利は2.00%まで低下して利下げキャンペーンを終了すると見込んでいるようだ。現在の中銀預金金利は4.00%。
しかし、エコノミストからはECBの利下げ開始は6月が有力で、今回の理事会でも夏からの利下げを示唆する可能性が高いとの指摘が少なくない。早期利下げに対する市場の期待は時期尚早で、利下げ開始は夏が適切であることを示唆すると予想しているという。ECBは利下げサイクル開始前に、特に賃金と国内インフレに関するより多くの情報を必要としている。最近の紅海でのフーシ派による船舶への攻撃が将来の商品価格に与える潜在的な影響についてECBがどのように見ているかについての情報も歓迎されるという。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、一時1.2650ドル付近まで値を落とした。21日線を下放れる展開が見られており、明日以降の動きが警戒される。目先は1.26ドルが強い下値サポートとなっており、その水準を試に行くか注目されそうだ。
短期金融市場は英中銀の今年の利下げ見通しが後退しており、今年の利下げ幅は計1.00%ポイント未満まで縮小している。昨年末には約1.50%ポイントの利下げが見込まれていた。これは6回の0.25%ポイントの利下げに相当する。今月発表されている英雇用統計や消費者物価指数(CPI)が予想以上に強い内容だったことが、利下げ期待を後退させている模様。
また、本日は12月の英公共部門ネット負債が発表されていたが、英公共部門の借り入れは78億ポンドと、11月の143億ポンドから減速し、予想(141億ポンド)も下回った。英公共部門の財政が好転したのは、来るべき総選挙を前に有権者の支持を得ようとするスナク政権にとって好都合なタイミングだった。今回の数字は春季予算案で減税を打ち出す可能性を示唆している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。