ドル円は一時142円台まで戻す ECBと英中銀は対照的=NY為替概況
ドル円は一時142円台まで戻す ECBと英中銀は対照的=NY為替概況
きょうのドル円は前日のFOMC後のドル売りの流れが続き、東京時間には瞬間的に140円台に急落する場面が見られていた。しかし、短期ショート筋と思われる値ごろ感からのショートカバーも入り、NY時間には一時142円台まで戻した。ただ、前日からの急落で下向きの流れが更に加速した雰囲気もあり、上値では戻り待ちの売りオーダーも数多く並んでいたようだ。
前日のFOMCを受けてエコノミストからもハト派な予想が相次いでおり、FRBは5月から計1.50%ポイントの利下げを実施し、25年初頭にはさらに計1.00%ポイントの利下げを実施する可能性があるとの見方が出ている。
FRBはインフレ低下が実質借入コストを押し上げるため、利下げが可能であるとの主張を信じているようだ。ただ、われわれの成長に対する慎重な見通しを考慮すると、FRBと市場が現在予想しているよりも積極的な利下げになると考えられるという。FRBのハト派転換は同エコノミストの予想よりも早く、米国債利回りは大幅な低下で反応したという。
ユーロドルは一時1.10ドル台を回復。前日のFOMCを受けたドル売りも去る事ながら、この日のECB理事会を受けてユーロが買われている。ECBは声明でインフレ目標の2%達成には政策金利を現行の高水準に据え置く必要があるとの姿勢を強調した。ラガルド総裁も「利下げは議論しなかった」として、市場の利下げ期待を完全に後退させている。
また、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で保有した国債の再投資を来年下半期から縮小し、来年末までには終了する方針も示している。前日のFRBとは真逆にタカ派姿勢を強調する内容となった。
11月末に付けた直近高値の1.1015ドル付近が意識されるが、そこを上抜ければ、再びリバウンド相場に戻り、7月高値の1.12ドル台後半を視野に入れそうだ。
ポンドドルは買いが加速し、一時1.28ドル台に迫る場面も見られた。本日の上げで上値レスタンスとなっていた1.27ドル台前半の水準を突破してきたことで、更なる上値追いへの期待感も高まっている。
きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表になっていたが、政策金利は予想通りに据え置かれた。注目されていた委員の投票行動は9名の委員のうち前回と変わらずに3名が利上げを主張していた。利上げを主張する委員がいることは予想通りではあったものの、前日のFOMCでFRBがハト派姿勢にシフトした後では、タカ派な印象も強かったようだ。ベイリー英中銀総裁も「利下げに関する議論は時期尚早」と述べていた。
ただ、市場は来年の利下げ期待を若干後退させたものの、計1.00%ポイント以上の利下げ予想は変えていない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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