米CPIを受けてドル円は上下動 FRBはタカ派姿勢温存との見方=NY為替概況
米CPIを受けてドル円は上下動 FRBはタカ派姿勢温存との見方=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドルが買い戻されており、ドル円は145.75円付近で推移している。この日発表の11月の米消費者物価指数(CPI)は予想通りの結果となった。エネルギー・食品を除くコア指数も予想通りの内容。
発表直後に為替市場は一旦ドル売りの反応を見せ、ドル円も144円台に下落したものの、直ぐに切り返した。パウエル議長も動向を気にしている住居費を除くサービスインフレ、いわゆるスーパーコアが計算値で前月比が0.4%と前回の0.2%から上昇したことは注目される。
コア指数が予想通りではあったものの、前月比で伸びがまだ上昇しており、前年比でも高水準で推移している点は物足りなかったのかもしれない。きょうの米CPIを受けて市場では、FRBが勝利宣言を急ぐことはないとの見方を強めている。しかし、市場は行き過ぎた3月こそ若干修正させたものの、まだ5月は完全に織り込んでいる状況。
明日のFOMCでFRBがこれまで通りにタカ派姿勢を温存してくるのは、ブラックアウト前のFOMC委員の発言や、先週の予想を上回る米雇用統計ですでに確認済みのはず。それでもなぜか市場は来年の利下げに対するスタンスを概ね変えていない。明日のFOMCで予想通りにタカ派姿勢を強調したとしても、果たして市場が考えを変えてくるかは未知数の部分が多いようにも思われる。
ユーロドルは米CPI発表直後に一時的に1.08ドル台を回復したものの、その後はドルが反転し、1.07ドル台に値を落としている。しかし、下押す動きまでは見られず、1.0760ドル付近に来ている100日線は維持している状況。一方、1.0825ドル付近に来ている200日線では上値を止められている。
今週はECB理事会が開催されるが、ECBは利下げ期待は時期尚早と、市場の期待を後退させる内容になるのではとも見られている。しかし、それに対して市場がどれだけ反応するかは未知数。一部からは、ユーロドルの下落局面では買い推奨の声も出ている。米経済指標が弱ければその影響を受けることから、目先の下落局面では買いだという。最近の金融情勢の大幅な緩和は12月のユーロドルにとって有利な環境を示唆していると説明している。最近の下落の動きに対抗すべきとし、短期的にユーロドルは上昇の可能性をまだ見ているという。
ポンドドルは1.25ドル台をしっかりと維持。200日線が1.2490ドル付近に来ているが、その水準は維持されている状況。本日は英雇用統計が発表になっていたが、週平均賃金は予想以上に鈍化していた。今週の英中銀金融政策委員会(MPC)での据え置きを正当化する内容ではあるが、それでも7%台での伸びに変わりはなく、英中銀を勇気づける内容ではない。なお、英国家統計局は現在、英労働力調査の見直しを行っているが、これまでの方法を使用した実験的な参考値として失業率は4.2%となっていた。
英賃金上昇率が予想よりもやや鈍化したとのデータを受けて、ポンドは下落の反応を示していたが、英中銀の利下げがFRBやECBよりも後回しになるとの見方が市場では根強く、ポンドを下支えしているという。英インフレの出発点が高く、コアインフレとサービスインフレの鈍化を示す証拠はいまのところ少ない。それらから、今週のMPCでの、利下げ期待に対する英中銀の反発予想はより信憑性の高いものとなっているようだ。
*米消費者物価指数(11月)22:30
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.0%(前月比)
結果 3.1%
予想 3.1% 前回 3.2%(前年比)
結果 0.3%
予想 0.3% 前回 0.2%(コア・前月比)
結果 4.0%
予想 4.0% 前回 4.0%(コア・前年比)
・スーパーコア(住居費を除くサービス業)
結果 0.4% 前回 0.2%(前月比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。