ドル買い戻しでドル円は147円台に再浮上 イベント待ちの雰囲気も=NY為替概況
ドル買い戻しでドル円は147円台に再浮上 イベント待ちの雰囲気も=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となる中で、ドル円も147円台に再浮上した。本日は米国債利回りも上昇し、先週の反動が出ている可能性も高そうだ。今週からFOMC委員が来週のFOMCに向けて発言を控えるブラックアウト期間に入ったが、それを前に先週はパウエルFRB議長の講演が伝わっていた。
議長は市場の利下げ期待に否定的な見解を示し、場合によっては追加利上げの可能性も温存させていた。しかし、市場は見方を変えず、議長が「政策金利は抑制的な領域に深く入った」と述べこと1点のみに反応し、ドル売りを継続している。市場とFOMC委員との見解の差が浮き彫りになっている象徴的な動きではあった。経済指標が決着を付けてくれるということなのであろう。今週末に米雇用統計が控えているほか、求人件数やISM非製造業景気指数、ADP雇用統計なども週内に発表され、本日は今週のイベント待ちの雰囲気も強い。
先週末に米商品先物協会(CFTC)が発表した建玉報告によると、ファンド勢は相変わらず円ショートを積み上げていることが示された。短期金融市場では来年6月までの日銀のマイナス金利解除を織り込んでいるが、ファンド勢はなお円安が定着しつつあると見ているのかもしれない。
ただ、ドル円は下値サポート水準を割り込んでおり、テクニカル的には下値をやりやすくなっている気配もある。200日線にはまだ距離があるものの、それまでにフィボナッチ38.2%戻しの水準が146.30円付近、50%が144.55円付近、61.8%戻しが142.85円付近に来ている。本日の200日線は148円台前半に来ている。
ユーロドルは1.08ドル台前半に下落。本日の200日線が1.0820ドル付近に来ているが、その水準を下回っており、明日以降の動きが注目される。先週発表のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が予想以上のインフレ鈍化を示したこともあり、市場ではECBの早期利下げ期待が一層強まっている。短期金融市場では来年4月の利下げ開始を完全に織り込んでいるほか、3月の利下げも75%の確率で織り込んでいる状況。
一部からは、市場は明らかに金利サイクルの変化を予測しているが、ユーロ圏については行き過ぎの可能性があるとの指摘が出ている。サイクルの変化はやがて来るであろうが、特に市場でのECBの利下げ期待は行き過ぎているという。現段階でより積極的な利下げ予想が正当化されるのは、突発的なショックが起きるか、かなりの弱い経済指標が出た場合に限られるとしている。
ポンドドルも戻り売りが優勢となった。先週末は1.27ドル台を回復していたが、きょうはその上げを失っており、1.26ドル台前半に下落。ただ、ここ数日のポンドドルは概ね1.26ドル台での上下動に終始しており、1.26ドルを下回ると押し目買いも出るようだ。
本日はドル買い戻しが強まっているものの、ポンドは軟調なドルと相対的に弱いユーロから、さらに上昇が期待できるとの見方が出ている。投機筋は過去2カ月間にポンドロングのエクスポージャを縮小し、小幅なロングに留めている状況だという。そのような中で、ポンドドルが直近高値の1.2730ドル付近を突破できればモメンタム勢が追撃する可能性があると指摘している。
また、今週は主要なイベントリスクも少なく、来週の英中銀金融政策委員会(MPC)に向けて明確に動くことができるとも述べている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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