ドル円は150円まで上昇 米国債利回り上昇でドル買い戻し=NY為替概況
ドル円は150円まで上昇 米国債利回り上昇でドル買い戻し=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢なり、ドル円も150円まで回復した。150円台には売り圧力も観測されているが、下値での押し目買い意欲も強い。本日は米国債利回りが上昇し、ドル円の買い戻しをサポート。
先週は米雇用統計を受けて、米国債利回りが急低下し、ドル円も149円台前半まで急速に下落した。再び150円をブレイクし、21日線も下抜けたことで下値警戒感も台頭していた。しかし、FRBが利上げサイクルを終了したとしても、一方で日銀が大胆な引き締めに動く可能性も低い中で、日米の利回り格差は相当程度維持されるとの見方も根強い。そのような中で、下値での押し目買い意欲も出ているようで、150円を下放れる動きまでは見せていない。
FRBがこの日発表した第3四半期の銀行融資担当者調査で前四半期からの改善が示されたことも利回りを押し上げた。ただ、全体的には融資基準はタイトになっており、ローン需要も弱まっていると報告。
ユーロドルは1.07ドル台での小幅な値動きに終始。これまでのドル買いの流れが止まり、ユーロドルは買い戻しを強めた。しかし、市場ではECBは利上げ終了との見方が強まり、この先の景気後退の見方も強まる中で、積極的に戻りを試す動きまではまだ出ていないようだ。
市場ではECBの来年の利下げ期待が高まっているが、一部からは、短期金融市場はECBの利下げを過大評価している可能性があるとの指摘も出ている。2024年の通年のECBの利下げに関するフェアバリューは約0.70%ポイントで、市場価格の約1.00%ポイントを下回るという。短期金融市場は4月に0.20%ポイント、6月までに累計0.36%ポイントの利下げを織り込んでいる状況。最初の利下げは6月を見込んでいるとも指摘した。また、実質賃金が5%以上伸びており、そのことは景気は崩壊はしないと考える非常に重要な理由だとも述べている。
ポンドドルは一旦1.24ドル台前半まで上昇していたものの、NY時間に入って1.23ドル台に伸び悩む展開を見せている。本日の200日線が1.2435ドル付近に来ており、その水準で跳ね返されている形となっている。
今週は第3四半期の英GDP速報値が発表される予定。予想は前期比0.1%のマイナス成長が見込まれている。市場の一部からは、英経済はすでにリセッション(景気後退)に入っているとの見方も出ている。高金利や失業率上昇の影響で家計は支出により慎重になっているという。
リセッションとなれば来年に総選挙を控えるスナク政権にとっては痛手となり、英中銀の利下げの可能性も高める。インフレが急速に低下した場合はなおさら。ただ、その場合でも市場はだいぶ想定している面もあり、ポンドがネガティブな反応を見せるかは未知数。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。