FX/為替「ドル/円、年初来高値更新が目前 149円急接近なら介入警戒感も」 外為どっとコム トゥデイ 2023年9月25日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年9月25日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼22日(金)の為替相場
(1):本邦CPI予想を上回る
(2):鈴木財務相円安けん制発言
(3):日銀 金融政策の現状維持を決定
(4):植田総裁の発言を受けて円売り優勢
(5):仏PMIを受けてユーロ売り
(6):英経済指標はマチマチの結果
(7):米PMIはマチマチ結果
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル高・円安の流れはまだ続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
22日(金)の為替相場
期間:22日(金)午前6時10分~23日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦CPI予想を上回る
日本8月消費者物価指数(CPI)は日銀が重視する生鮮食品を除いたベースで前年比+3.1%と市場予想(+3.0%)を上回った。
(2):鈴木財務相円安けん制発言
鈴木財務相は、為替相場の過度な変動について「あらゆる選択肢を排除せず適切に対応」として日銀の金融政策発表を前に円安の動きをけん制した。
(3):日銀 金融政策の現状維持を決定
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を決定。声明で「粘り強く緩和を継続し、賃金上昇を伴う物価目標の実現を目指す」「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とあらためて表明した。一部には、マイナス金利解除の手掛かりを示すのではとの思惑があったことから市場は円売りで反応した。
(4):植田総裁の発言を受けて円売り優勢
植田日銀総裁は「物価目標の実現が見通せる状況になれば(マイナス金利の解除も含めて)政策修正を検討することになるが、どの時点になればその状況になるかは決め打ちできない」などと発言。マイナス金利解除に関する踏み込んだ発言を控えたことで円売りが優勢となった。ただ、ドル/円が前日に付けた年初来高値の148.45円前後前に伸び悩むなど、円買い介入への警戒感がくすぶる中で円売りはやや勢いが鈍かった。
(5):仏PMIを受けてユーロ売り
仏9月製造業PMI・速報値は43.6、同サービス業PMI・速報値は43.9と、いずれも予想(46.1、46.0)を下回った。これを受けてユーロ圏の景気先行き不安が高まるとユーロが下落。ドル/円につれ高していたユーロ/円も反落した。なお、その後に発表された独9月製造業PMI・速報値は39.8(予想39.5)、同サービス業PMI・速報値は49.8(予想47.1)で、ユーロ圏9月製造業PMI・速報値は43.4(予想44.0)、同サービス業PMI・速報値は48.4(予想47.6)だった。
(6):英経済指標はマチマチの結果
英9月製造業PMI・速報値は44.2(予想43.2)、同サービス業PMI・速報値は47.2(予想49.4)となった。これより前に発表された英8月小売売上高は前月比+0.4%と市場予想(+0.5%)に届かなかった。
(7):米PMIはマチマチ結果
米9月製造業PMI・速報値は48.9(予想48.2)、同サービス業PMI・速報値は50.2(予想50.7)とマチマチの結果だった。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は「インフレ率を適時に2%に戻すには、政策をしばらく抑制的な水準に維持する必要」「経済は依然として堅実なペースで成長しており、堅調な個人消費と雇用増加が見られる」などと述べた。
22日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドル高・円安の流れはまだ続く
22日のドル/円は、日銀がマイナス金利の解除に関する具体的な手掛かりを示さなかったことで円売りが優勢となり148.42円前後へと強含んだ。もっとも、前日に付けた年初来高値(148.45円前後)を前に伸び悩むなど、本邦当局による円買い介入への警戒感がくすぶる中で円の下値を売り込む動きはやや鈍かった。年内あと一回の利上げを示唆した米連邦準備制度理事会(FRB)と、「粘り強く金融緩和を継続する」と表明した日銀との金融政策の方向性の違いが改めて鮮明になっており、そこから生じるドル高・円安の流れもまだ続くと見られる。ただし、ドル/円の上昇ピッチが速まれば、それに応じて介入の可能性も高まると見られることから、一気に上値を切り上げる展開にはなりにくいだろう。
本日のドル/円は前述の年初来高値を更新する可能性はあるものの、149円台に近付けば伸び悩みそうだ。
注目の経済指標:独IFO企業景況感指数
注目のイベント:植田総裁発言
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経済指標・イベントの結果について
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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