FX/為替「ドル/円、年初来高値146.55円の攻防 閣議後の財務相会見にも注目」 外為どっとコム トゥデイ 2023年8月22日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年8月22日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼21日(月)の為替相場
(1):中国人民銀の小幅な利下げに失望
(2):米10年債利回り 約16年振りの水準へと上昇
(3):ハイテク株の上昇を受けてクロス円が日通し高値更新
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:146.55円前後を上抜けできるか/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
21日(月)の為替相場
期間:21日(月)午前7時00分~22日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国人民銀の小幅な利下げに失望
中国人民銀行(PBOC)は1年物LPR(ローンプライムレート)を3.55%から3.45%へ引き下げた一方、住宅ローン金利の基準となる5年物LPRは4.20%に据え置いた。1年物を3.40%へ、5年物を4.05%へ引き下げると見込んでいた市場は、低迷する中国不動産市場を支えるには力不足の小幅な利下げと受け止め、人民元売りとともに豪ドル売りで反応。ただ、豪ドル/円は売りが一巡すると日本株の持ち直しを受けて切り返した。
(2):米10年債利回り 約16年振りの水準へと上昇
米10年債利回りが2007年以来の4.35%台へ上昇。米経済が想定以上に底堅いことから連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了後も金利が高止まりするとの見方が強まった模様。米長期金利の上昇を受けて日米金利差の拡大が意識されるとドル/円は146.40円前後まで上伸して17日に付けた年初来高値の146.55円前後に迫った。
(3):ハイテク株の上昇を受けてクロス円が日通し高値更新
AIブームをけん引するエヌビディアの株価が今週23日に発表される4-6月期決算への期待から急騰するなど米ハイテク株が値上がり。長期金利上昇にもかかわらずハイテク銘柄中心のナスダック指数が大幅に上昇する中、為替市場では低金利の円を売る動きが優勢となった。リスクオンでドルもやや軟調だったためドル/円は伸び悩んだが、ユーロ/円が2008年9月以来ほぼ15年ぶりに159.40円前後に上昇するなど、クロス円はいずれもこの日の高値を付けた。
21日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:146.55円前後を上抜けできるか
昨日のドル/円は146円台を回復して年初来高値に接近。米10年債利回りが16年ぶりに4.35%前後まで上昇する中、日米金利差拡大が意識された。東京市場では145.10円台に弱含む場面もあったが、NY市場で146.40円前後まで切り返して先週17日に付けた146.55円前後の高値に迫った。
本日は146.55円前後を上抜けできるかが見どころになりそうだ。引き続き、米長期金利の動向が焦点となるが、昨日の米ハイテク株上昇を受けて日経平均先物が強含みで推移しており、日本株の動向にも注目したい。株価が上昇すれば低金利の円を売る動きが強まる可能性もあろう。
もっとも、先週と同様にこの水準では本邦政府筋からの円安けん制への警戒感が強まりそうだ。口先介入によって円安トレンドを変えることはできないと見るが、瞬間的にドル/円が急落するなど値動きが不安定化する公算が大きい。なお、本日は総理官邸で閣議が行われ鈴木財務相も出席する予定となっている。11時前後と見られる閣議後の会見にも注目したい。
注目の経済指標:米中古住宅販売件数
注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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