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為替相場まとめ8月14日から8月18日の週

為替 

 14日からの週は、ドル買いと円買いが交錯。米FOMC議事録で今後の利上げの可能性が示唆されたことが、日銀の緩和策長期化観測と対照的であることから、ドル円相場を押し上げた。一時146円台半ばと、昨年の政府・日銀の為替介入実施水準を上回る円安・ドル高水準となった。英国の賃金上昇率の加速やコアインフレの高止まりを受けて英中銀の追加利上げ観測が高まり、ポンド買い・円売りとなったこともドル円相場を下支えした。しかし、その一方で中国発のリスク回避圧力も強まっている。同国不動産大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)の債券利払い停止がデフォルト懸念を広げた。さらに、2年前に危機が発生した中国恒大がここにきてNYで連邦破産法15条の適用を申請した。中国売りの様相を呈するなかで、人民元安が進行し、リスク警戒のドル高圧力となった。世界的に株式市場に調整圧力がかかったことで週後半には円が買い戻される動きもみられている。中国当局は為替市場や株式市場での対応を示したが、市場に広がる中国経済先行きに対する不透明感を払しょくするには至っていない。


(14日)
 東京市場で、ドル円は高値を伸ばした。午前に145.22近辺まで上昇、先週末高値を更新した。その後すぐに144.66近辺まで急反落も、144.90台と先週末終値付近に落ち着いた。ドル高の流れが継続するなかで、口先介入に対する警戒感も交錯していた。ロンドン朝方にかけては144.70台へと小緩んでいる。ユーロ円はドル円とともに158円台で上下動も、午後にはやや売りに押されている。ユーロドルは1.0930割れ水準から1.0960付近で売買が交錯した。豪ドルが軟調。中国不動産大手カントリーガーデン株が下落、中国売りの様相を呈した。香港ハンセン指数は一時500ポイント超の下げとなり、豪ドル円は94.20台から93.50へと下落した。

 ロンドン市場は、円売り圧力が優勢。週明けのアジア・東京市場では、中国不動産大手の碧桂園(カントリーガーデン)が利払いできない事態に陥ったことがリスク回避の動きを広げ、香港・上海株とともに日経平均も下落した経緯がある。欧州序盤も株安の動きが先行したが、米株先物とともに次第に下げ渋っている。ロンドン時間にはリスク警戒の動きは一服している。ドル円は東京午後に144.70台まで下押しされる場面があったが、欧州株の反発とともに買われ、145円台乗せ水準に上昇している。ただ、東京午前につけた高値145.22レベルには届いていない。ユーロ円は158.20付近まで下落したあとは158.80付近へと上昇、東京高値158.85レベルに迫った。ポンド円は183.50割れから184.30台まで上昇。ただ、足元では上値追いの動きは一服している。ドル相場はドル買い一服。ユーロドルは1.0920台から1.0960付近に反発。ポンドドルは1.2660台から1.2715近辺まで買われた。ポンドは対ユーロでも堅調に推移している。

 NY市場では、ドル買いが強まった。ドル円は145.58近辺まで上昇。先週の米インフレ指標を通過して、米国債利回りが再び上昇。ドル円は日米の金利差を意識した買いが活発化している。米国債市場ではインフレ調整後の実質利回りを示す10年物インフレ連動債の利回りが1.82%まで上昇し、2009年以来の高水準に接近した。また、ドルが人民元やルーブルに対して買われているほか、アルゼンチンペソの切り下げもドル買いのフォローとなったもよう。ファンド勢はドルショートの縮小を続けているとの見方も。、雇用を始め、足元の経済が底堅く推移している中、FRBは高水準の政策金利を市場の予想以上に長期に渡って継続するのではとの見方が広がっていた。ユーロドルは1.0870付近に一時下落もその後は1.0930台まで反発した。ポンドドルは1.2615付近まで下落したあと、一時1.27台乗せ水準まで反発した。ポンド相場にとっては15日の英雇用統計で賃金動向、16日の英消費者物価指数が注目されている。

(15日)
 東京市場では、ドル円が再び上昇。前日NY終盤の買いの流れを受けて東京朝方には145.59近辺と前日高値をわずかながら更新した。その後の調整売りは145.30台までと限定的。午後に入って鈴木財務相が行き過ぎた動きには適切な対応取りたい、投機筋の動きあればしかるべき措置を取るなどの発言を行い、午前の安値に並ぶ場面が見られたが、すぐに145円50近くまで戻すなど、下値しっかり感が継続した。昨日NY午前のドル高局面で1.0875を付けたユーロドルは1.09台前半に戻して東京朝を迎え、東京市場では1.0900-1.0918の18ポイントレンジ。ポンドドルも1.26台後半の22ポイントレンジと落ち着いた動き。人民元が売られた。中国人民銀行が1年物貸出金利(MLF)を予想外に引き下げたことに反応。人民元は対ドルで昨年11月以来の安値となった。

ロンドン市場は欧州通貨が堅調。ロンドン朝方発表の英雇用統計で週平均賃金の伸びが前年比+8.2%と前回の7.2%(6.9%から上方修正)から加速したことが背景。市場での追加利上げ観測が高まり、英欧債利回りの上昇がポンドやユーロ買いにつながっている。ユーロドルは1.0945近辺、ポンドドルは1.2730近辺に本日の高値を更新。ドル円は145円台半ばから後半で上下動。鈴木財務相や神田財務官から従来通りの円安けん制発言が行われたが、円買い反応は乏しくドル円は145.87近辺まで一時上昇。その後は欧州通貨買いに伴うドル売り圧力に145.50付近へと押し戻されている。ただ、クロス円は堅調で、円売り圧力は健在。ユーロ円は158円台後半から159円台前半へ、ポンド円は184円台半ばから185円台前半まで買われ、その後も高止まり状態に。短期金融市場では9月会合について英中銀の25bp利上げを完全に織り込み、ECBについては25bp利上げを5割程度織り込んだ。欧州株は軟調に推移、リスク動向に敏感な豪ドルやカナダドルなどは原油安もあって売られている。ロシア中銀は臨時会合で利上げを発表。中国人民銀はMLF金利に続いてSLF金利の引き下げを発表した。欧州通貨高の分、ドル指数は反落しているが、ドル高の流れ自体は継続している。

 NY市場では、ドル円の上値追いの流れが継続。米小売売上高の上振れに一時買われたあと、145円台前半に調整売りが入ったが、その後は再び145円台半ばに戻した。ただ、介入警戒感もあって、東京高値145.59近辺には届かず売買が交錯した。先週からのインフレ指標や米国債の過剰供給の問題もあり、ここに来て米国債利回りが上昇しており、実質利回りも2009年以来の水準に上昇。ドルを押し上げている。一方で、日銀はイールドカーブコントロール(YCC)の変動許容範囲は拡大させているものの、緩和姿勢は強調しており、10年物日本国債の利回りも0.6%台の上げに留まっている状況。日米の利回り格差拡大への期待からドル円は上値追いの動きを継続している。ユーロドルは上下動を伴いながらの下落。1.0950付近まで買われたあと1.09台割れに。この日の独ZEW景況感指数は予想ほど悪化しなかったが、現況指数は一段と落ち込むなどまちまちの内容だった。ドイツの経済見通しは今後数カ月間、株式やその他のリスク資産が圧力を受ける中で、再び弱くなる可能性との見方があった。ポンドドルも1.2750超えへ買われたあと、1.27付近に下落。あすの英消費者物価指数を控えて、調整が入る面も。

(16日)
 東京市場で、ドル円は145円台での振幅。午前の買いに145.70台をつけたが、日経平均の下落などリスク警戒もあって昼前には145.40台に反落。ただ、レンジは28銭と小幅にとどまった。高値警戒感と下値での買いが交錯している。ユーロドルは1.0899から1.0918までの19ポイント、ユーロ円は158.64から158.90までの26銭レンジにとどまった。NZ中銀会合では市場予想通り政策金利が据え置かれた。ただ、スモールチャンスという表現ながら、利上げの可能性が全くなくなったわけではないことを示したことや、当面の引き締め的な金利水準を維持するとの表現で、早期の利下げ期待を牽制している。
NZドルは買われ、対ドルで0.59台後半へ、対円で86円台後半へと上昇した。

 ロンドン市場は、ポンド買いが優勢。日本時間午後3時に発表された英消費者物価指数が前年比+6.8%と前回+7.9%から伸び鈍化も、市場予想+6.7%を上回ったことに反応した。コア前年比も+6.9%と市場予想+6.8%を上回った。前日の英賃金上昇加速とともに英中銀の追加利上げ観測を裏付ける結果内容となっている。ポンドドルは1.27付近から1.2760台へ、ポンド円は184.60台から185.80付近へと上昇。円売りやドル売りに波及し、ドル円は145.30付近から145.60台へ、ユーロ円は158.70付近から159.10付近へ上昇。ユーロドルは1.09台前半で1.0935近辺までじり高となった。欧州株は売り先行で取引を開始したが、次第に下げ渋っている。独仏株価指数はプラスに転じた。一方、英FT指数は引き続きマイナス圏に低迷している。ユーロ圏GDP改定値は速報値から変わらず。同鉱工業生産は予想を上振れしたが、ユーロ買い反応はみられず。足元ではポンドとともにユーロも買い一服となり、NY市場待ちとなっている。ドル円は足元で145.75付近の高値を伸ばす動きとなっている。

 NY市場では、取引終盤にドル買いが強まった。NY午後にFOMC議事録が公開されたが、「インフレリスクは一段の引き締めを必要とする可能性」と言及し、追加利上げの可能性を示唆していた。また、大半のFOMC委員はインフレに重大な上昇リスクがあると見ていることも明らかとなった。きょうもドル円は上値追いが続き、昨年11月以来の146円台に上昇。昨年に日本の財務省が実施した介入水準に到達している。市場からは介入への警戒感があるようだが、介入リスクに備えるのはまだ時期尚早との声も多い。少なくとも150円まではないという。昨年と違い、円安に対する日本の政府への圧力は弱まっているようだ。内需が底堅く、原油価格も昨年より下落していることから、政治的圧力は小さいという。日銀のイールドカーブコントロール(YCC)政策の追加調整も当面は無さそうで、円キャリー取引は日銀がマイナス金利政策を放棄するまで続く可能性もあるという。ユーロドルは下値模索が続いており、再び1.08ドル台に下落。一方で、ポンドドルは終盤に伸び悩んだものの、一時1.2765ドル付近まで買い戻される場面も見られていた。根強い英インフレ圧力を背景に、ポンドには対ユーロでの買いも入っていた。

(17日)
 東京市場で、ドル円は高値圏推移を続けた。前日NY後半の米FOMC議事録で「インフレリスクは一段の引き締めを必要とする可能性」と示され、追加利上げの可能性が示唆されたことがドル買いを誘った。ドル円は東京朝方に146.56近辺まで買われ、一段高となった。中国売りの動きが今日も広がっており、リスク警戒の動きから日経平均も大幅安に。高値からの円売りに慎重姿勢が見られたが、下値もしっかり。146.40前後での推移が午後まで続いた。ユーロドルは1.08台後半での推移。ドル高基調の中でやや上値が重く、1.0890前後からじり安となった。豪雇用統計は予想外の雇用減となり、失業率も悪化した。豪ドルが下落。対ドルではドル高基調もあって0.64台前半から0.6360付近まで下落、その後も戻りも限定的。中国売りの影響もみられた。

 ロンドン市場は、ドル相場が上下動。ロンドン序盤には欧州株が売りに押されて取引を開始、再びリスク警戒的なドル買いが持ち込まれた。ロンドン昼にかけて関係者として「中国当局が国有銀行に為替介入の強化を今週指示」と報じられると市場のムードが一変。まず、ドル売り・オフショア人民元買いの動きが広がった。これが主要国通貨にもドル売り圧力となり、全般にドル売り方向に転じている。欧州株はほぼ下げを解消。ドル円は146円台前半での振幅を経て、146円台割れへと下落している。ユーロドルは1.08台後半での上下動のなかで足元では1.0890近辺まで高値を更新。ポンドドルは1.27台割れ目前まで下押しされたあと、1.2750台へと高値を伸ばしている。ただ、米債利回りは上昇していた。

 NY市場では、終盤に入ってドル円に売りが強まった。米株式市場でナスダック、ダウ平均が下げ幅を広げ、リスク回避の雰囲気が出ていた。中国不動産大手、恒大集団がNYで連邦破産法15条の適用申請との報道に反応した面も。ドル円は146円台前半から再び145円台後半に下げている。前日の米FOMC議事録後のドル買いが一服しており、146円台が重くなっている。ユーロドルはNY朝方にかけて1.09台に乗せたが、その後は売りに押されて1.0870付近に下落している。ポンドドルは1.27台後半へと買われたあと、1.27台前半に押し戻された。ただ、ポンドは対ユーロでは堅調に推移している。今週発表の英賃金データと、コアインフレの粘り強さを示唆するインフレ指標から、市場は英中銀があと3回利上げを実施すると予想しており、ポンドの下値をサポートしているようだ。 
 
(18日)
 東京市場では、ドル円が売られている。前日NY市場で中国経済先行き不安、米FOMCの利上げ継続姿勢などを受けて米株が下落し、円買い圧力となった流れを引き継いでいる。米10年債利回りの低下がドル売り圧力となった面も指摘される。前日NY終盤には中国恒大がNYで連邦破産法15条の適用を申請しており、中国売りの様相を強めた。きょうのアジア株式市場では、香港ハンセン指数、上海総合指数がともに下落している。ドル円は145円台後半から前半へと下落。ユーロドルは1.08台後半で買い先行後も売り戻されている。ユーロ円は158円台半ばが重くなり、158円台前半での揉み合いからやや下値を探る動きになっている。

 ロンドン市場は、リスク回避の円買いは一服している。ドル円はロンドン序盤に欧州株の下落や米債利回りの低下とともに軟化、145.15近辺に安値を広げた。その後は、欧州株の下げ幅縮小、米債利回り低下一服などで145.60台まで反発。しかし、米債利回りが再び低下しており、ドル円は145円台半ばでの揉み合いとなっている。中国証券当局は、大手不動産デベロッパーの債券デフォルトリスクを着実に解消へ、と述べているが具体策はまだ見えない。上場会社の自社株買いを推奨するなど株価対策も、人民元買いの介入と同様に抜本的な景気対策ではない。欧州株や米株先物は下げ一服も依然としてマイナス圏で取引されている。ユーロ円は157円台後半から158円台前半へ、ポンド円は184円台半ばから185円台前半までの下げ渋り。米10年債利回りは4.27%台から4.21%台へと一方的に低下する流れとなっている。しかし、リスク警戒のドル買い圧力があるなかで、ユーロドルは1.08台後半、ポンドドルは1.27台前半などで上値重く推移している。

 NY市場では序盤にドル高が強まったものの、その後はドル売りとなった。米10年債利回りがロンドン市場での4.21%台から4.28%近くまで上昇する中でドル買いとなり、ドル円は145円70銭台を付けた。米株が序盤に下げ、ダウ平均が寄り付き直後に200ドル超の下げとなるなどリスク警戒の動きが広がり、ドル買いを誘った。その後米債利回りは4.22%前後と上昇分のほとんどを打ち消した。ドル高の動きも一服となり、売りが出ると、その後は米債利回りの低下が収まっても下げが止まらず。ドル円は一時145円割れを付けた。もっとも週末を前に145円割れでのドル売りには慎重姿勢が見られ、その後145円台前半推移となった。序盤に欧州通貨安ドル高となったユーロドル、ポンドドルなども買い戻しが目立つ展開となっている。
 

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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