【今週の注目材料】英物価は高止まりを警戒=英消費者物価指数
19日に英国の6月の物価統計(消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数)が発表されます。注目はインフレターゲットの対象である消費者物価指数前年比です。
英国の消費者物価指数は昨年10月分の前年比+11.1%をピークに、徐々に鈍化傾向となっていますが、6月21日に発表された5月分は市場予想の+8.4%を超える+8.7%と、4月分と同水準にとどまりました。
インフレターゲットである2%をはるかに超える水準での高止まりに、市場では英中銀による積極的な金融引き締めへの期待が広がりました。前回の物価統計発表の翌日に発表された英中銀金融政策会合(MPC)では、政策金利が0.5%ポイント引き上げられ、+5.0%となりました。3月と5月のMPCが0.25%利上げとなっていたため、元々は0.25%利上げ見通しが広がっていましたが、CPIの衝撃的な結果を受けて0.5%を期待する動きが一部で広がった中での大幅利上げでした。内訳を確認すると、9名のメンバーの内、7名が0.5%利上げを主張、今年に入って金利据え置きを主張し続けているハト派の2名が変わらずの据え置き主張という形でした。このハト派2名の内、1名は7月4日で任期満了を迎え、新委員としてこれまでの英中銀の利上げに好意的な姿勢を示しているグリーン氏が就任したことで、より積極的な姿勢が強まると期待されています。
こうした中、英中銀が次回8月3日の会合で0.5%利上げを続けるかどうか。利上げの終着点となるターミナルレートがどの程度の水準になるのかについて、市場の見方が分かれています。
積極的な利上げを続けるかどうかは、物価動向がカギを握るだけに、19日の英物価統計に注目が集まります。市場予想は前年比+8.3%と前回及び前々回の+8.7%から鈍化見込みとなっています。ただ、ターゲットの2%まで遠すぎる水準であり、市場予想通りの結果になった場合でも大幅利上げの期待が継続すると見られます。
短期金利市場では次回の0.5%利上げを64%程度見込んでいます。この期待がさらに強まるようだとポンド買いが期待されます。市場予想を超える伸びとなった場合は大幅利上げをほぼ織り込むような動きが期待され、ポンド買いが加速する可能性があります。
ターミナルレートについては6月時点で多くの金融機関が予想水準として掲げていた5.75%では低すぎるとの見方が広がっています。短期金利市場では来年2月にピークを迎えるターミナルレート水準として6%と6.25%で見方が分かれている状況。6.5%という見方もそれなりに出てきています。
今月11日にONS(英国立統計局)が発表した3-5月の賃金上昇率が、過去最高水準になるなど、厳しいといわれていた英景気は底堅さを見せており、利上げに耐えうるとの期待があるだけに、物価動向次第では利上げ期待がもう一段引き上げられ、ポンド高が強まる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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