リスク回避復活でドル買い戻し ドル円は一時144円台後半まで戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場はリスク回避の雰囲気が復活し、為替市場はドル買い戻しが優勢となった。ドル円は東京時間に143円台半ばまで下落していたが、NY時間にかけて144円台後半まで戻している。再び145円をうがかう展開も見せていた。しかし、後半になって米株が序盤の下げを取り戻したことから、ドルは伸び悩む展開。
この日発表のADP雇用統計やISM非製造業景気指数はともにFRBのタカ派姿勢を正当化する内容となった。米国債利回りも上昇し、米株式市場も戻り売りが強まった。この日はデーリー・サンフランシスコ連銀総裁の発言が伝わっていたが、市場で出ている2023年の利下げ観測には否定的な見解を示したほか、利上げペースにとってはコアインフレが重要で、それの横ばいか低下を見たいと述べていた。
市場の一部からは、ドルは過大評価されている可能性があり、今後数四半期にピークを迎える可能性があるとの見方も出始めている。いずれにしろ、年末に向けて本格的に流れが変わるか、今週末の米雇用統計や来週の米消費者物価指数(CPI)の結果を受けて、市場がどう反応するかを待ちたいところではある。
ユーロドルは戻り売りに押され、0.98ドル台に下落。パリティ(1.00ドル)回復を試す動きも見られていたが、達成できずに失速している。また、きょうの下げで再び21日線を割り込む動きが一時見られ、上値の重い雰囲気に変化はない。
今週はユーロ圏PMIの確報値が発表された。本日は総合とサービス業の指数が発表され、伴に前回から低下し、現在の景気減速が広範囲に及んでいることを示している。サービス業PMIは48.8と、8月から1ポイント低下し、実質所得が圧迫される中でサービス活動が急減速したことを示唆。
ユーロ圏は7-9月期から3四半期に渡ってリセッション(景気後退)に陥ると予測されているが、その見通しを正当化する内容。見通しが悪化する一方で、企業コストは上昇しており、インフレリスクは依然として深刻な状況となっている。そのような中、今月のECB理事会では0.75%ポイントの利上げが有力視されている状況。
ポンドドルも戻り売りに押され、一時1.12ドル台に下落。ただ、後半には1.13ドル台半ばまで戻している。対円、ユーロでも軟調に推移していた。
本日はトラス英首相が与党保守党の会議に出席し、所得税の最高税率引き下げ計画は撤回したものの、減税策の残りの部分は実施すると述べた。首相は、「高税率、低成長のサイクルから脱却することを決意した」と述べ、ポンドはネガティブな反応を見せていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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