【来週の注目材料】ここ3か月連続でのマイナス、米個人消費の回復なるか?~米小売売上高
17日に1月の米小売売上高が発表されます。前回12月分は予想を大きく下回る前月比-0.7%となり、3か月連続での売上減となりました。米新車販売が比較的好調だったこともあり、前月比変わらず程度が期待されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大第3波の勢いが勝った形です。自動車を除くコアの数字は-0.2%の予想に対して-1.4%まで落ち込んでおり、こちらも3か月連続での売上減です。なお、総合、コアともに11月の数字が下方修正されており、そこからさらに前月比が大きくマイナスということで、厳しい印象を受ける結果となりました。
なお、2020年通年での小売売上高は前年比+0.6%とわずかなプラスに。リーマンショックの影響が大きく出た2009年以来の低水準となり、新型コロナウイルスの影響を印象付ける結果となっています。
前回の小売売上高の内訳をみると、自動車及び同部品が+1.9%と好調な結果となったほか、11月に弱めに出たガソリンスタンド売上がガソリン価格の回復もあって+6.6%と伸びました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に影響が大きく出た飲食店が-4.5%と低下。電化製品の-4.9%の低下も新型コロナウイルスの影響での家電量販店への来客減の影響が意識されています。また、新型コロナウイルスの影響下で比較的堅調に出がちな無店舗小売(オンライン販売)が-5.8%と落ち込んだ影響も見られました。
もっとも1月に入って新型コロナウイルスの影響は徐々に和らいでおり、回復が期待されるところとなっています。12月の州別雇用統計で雇用が50州の中で最も大きく減少し、規制強化の影響が懸念されたミシガン州は、12月21日に映画館、コンサートホール、カジノ、ボーリング場などの娯楽施設の条件付き営業の再開、幼稚園や学校などの対面授業の再開など規制の一部緩和を実施。ミシガン州に続いて雇用の減少が目立ったカリフォルニア州でも1月25日に外出規制の緩和などが実施されています。
こうした状況を受けて今回の予想ですが、前月比+0.8%と回復が見込まれています。自動車を除くコアも+0.8%と同水準が見込まれています。ガソリン価格が12月から1月にかけて大きく上昇(全米全種平均で12月の1ガロン当たり2.284ドルから1月は2.420ドル)したこともあり、ガソリンスタンド売上の上昇が見込まれている分、自動車とガソリンを除いた分の見通しは+0.5%と伸びが他に比べると低いですが、それでもしっかりプラス圏が見込まれるところとなっています。
予想通りもしくはそれ以上の好結果が示されると、米景気の底堅さが印象付けられるところとなりそうです。
ただ、個人消費とも密接にかかわる米国の雇用情勢は5日に発表された非農業部門雇用者数が予想を下回る伸びにとどまるなど、いまいち冴えない状況で、この辺りは懸念材料です。また、米レッドブルリサーチが発表している米国の1月30日までの第1週から第4週までの既存店舗ベースの小売売上高は、前月比-1.6%と減少。米中西部から北東部などで暴風雪に備えた生活必需品の購入拡大などが見られましたが、全体としてはさえない数字を示しました。
こうした状況から期待ほどの回復を示していない可能性も十分にあります。下方向のリスクも意識しておきたいところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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