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とれんど捕物帳 ドル円は微妙な展開 上値期待高まるも来週の動きを要確認

為替 

 今週は2つの出来事が市場に大きく影響を与えた。1つ目は米大統領選でバイデン候補が勝利したこと。2つ目はワクチン開発への期待感がこれまで以上に高まったことであろう。これらを受けてドル円は買い戻しが急速に強まり、大きな節目となっている105円を一時回復した。

 ただ、週末には、堅持していた105円台をブレイクし104円台に下落。21日線も割り込んでおり、ここで踏ん張れるか重要な局面に入っている。今週はロング勢にとって期待感を高める動きが見られていたが、来週以降、21日線と105円台を回復し、大きなゲームチェンジャーになるのか動きが注目される。

 米大統領選でのバイデン候補の勝利だが、市場がバイデン候補の経済政策に期待しているというよりも、不透明だった大イベントが通過したという安心感が大きかったであろう。バイデン候補が次期大統領になれば、大型の財政出動が期待され、景気を支援するとみられている。しかし、財政出動には米議会の存在が重要だ。米議会のほうは共和党が予想以上の健闘を見せ、下院は過半数を確保できなかったものの、上院は僅差ではあるが、過半数を確保しそうな勢いだ。いわゆる、ねじれ議会の状況にあり、バイデン候補が主張する規模の財政出動は難しいとの声も多い。

 ちなみに、日本の国会の場合には事前に与党内で議論し結論を出す。党議拘束もあることから、国会に出る時にはほぼ結果が決まっている。一方、米議会の場合は、党内で結論を出すことなく各議員の主張が議場にそのまま出ることから、一筋縄では行かない。その議題を協議するかどうかから投票が始まるくらいだ。

 大きな政府を標ぼうする米民主党内でも、これ以上の財政赤字はまずいと考えている議員もいるであろう。一方で小さな政府を標ぼうする共和党内でも、いまは大胆な財政出動が必要だと考えている議員もいるであろう。それでも市場はバイデン候補が主張する規模の財政出動は難しいと見ているようだ。

 そのほか、トランプ陣営は投開票に不正があったとして法廷闘争に持ち込もうとしている。市場はいまのところ冷静に見ているようだが、展開次第では市場に大きなボラティリティを生むリスクはなお留意される。個人的にはジョージア州の再集計に注目している。手作業で500万票を再集計し、勝者認定の期限である20日までに作業を完了させるという。同州ではバイデン候補が約1万4000票の僅差で勝利ということになっている。NBCやABCなど米大手ネットワークはジョージア州でのバイデン候補の当確を打っていたが、どうなるかはわからない。万一、結果が覆ることになれば、僅差の州は他にも複数あり、それにバイデン候補が得票を急激に伸ばした郵便投票への疑念も加わって大事に発展するリスクも皆無ではない。いずれにしろ注目したい。

 ワクチン開発への期待だが、ファイザーと独ビオンテックが共同開発しているワクチンの臨床試験で、90%以上が感染を予防したとの中間報告を発表した。アザー米厚生長官は「ファイザーのワクチンが11月下旬に配布開始の可能性がある」と述べ、ファウチ米感染研所長は「ファイザーのワクチン候補は、向こう1週間もしくは1週間半で緊急使用許可(EUA)が下りる可能性が高い」と述べていたが、市場もこれまでにないほど期待を高めている。

 ワクチンや新薬は「景色を一変させる」とこれまでも述べてきたが、その動きが早速出ている。米大手証券が2021年の投資テーマの1つとして、米国債のイールドカーブのスティープ化を挙げた。名目利回りと実質利回りの両方で長短差が広がる見通しだという。すでにスティープ化の動きは今週の市場で顕著になり始めており、ワクチン開発に関する前向きなニュースで、今後の成長見通しが押し上げられ、米国債のイールドカーブは2016年以来で最もスティープ化した水準に接近している。FOMCはインフレ加速を促すために、景気の過熱状態を放置する意向を示唆しており、これに景気回復が加わり、スティープ化に賭けた投機的なポジションが積み上がっているという。FRBが短期金利を低く維持することにコミットする一方で、実質成長率とインフレ率の上昇期待から、長期金利の方がより押し上げられるだろうと説明している。

 もし、米大手証券の予想通りに米国債利回りのスティープ化が顕著になれば、これまでの経験則からドル円は上向きを示すことが多い。今後の進展に期待ではあるが、個人的には、FRBはかなり慎重で、米インフレも期待ほどは高まらず、現段階ではドル安の流れは根強いと見ている。

 さて来週だが、ドル円は週末の104円台への下げで微妙な展開になっている。早期に105円台に戻せれば、今回のリバウンドは本物であろう。何とも言えないところで、来週の動きを確認する以外にはない。

 経済指標では米小売売上高や住宅指標が予定されているが、それ以上にワクチン開発の動向や、個人的にはジョージア州の再集計に注目したい。それらの動向次第ではあるが、短期的にドル円はもう一段の上値を期待したい。

 来週のドル円の想定レンジだが、104.00円~106.00円を想定。スタンスは「弱気」から段階を2つ引き上げ「中立」とする。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↑↑(→)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下から中立へトレンド変化
短期 ↑↑(↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

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次回の配信は11月28日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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