トランプ発言で再びドル売りが優勢に ドル円は105円台半ば=NY為替後半
きょうのNY為替市場、序盤はドル売りが一服していた。特に材料も見当たらなかったが、明日の米雇用統計や、追加経済対策を巡ってのホワイトハウスと民主党の協議の行方を見守りたい雰囲気も出ているようだ。
この日は米新規失業保険申請件数が発表され、3週間ぶりに件数は減少していた。予想も下回っている。感染第2波が拡大する中で再び企業が人員を絞っており、申請件数も増加が続いていた。明日は米雇用統計が発表になるが、失業率は低下が見込まれている。ただ、第2波の影響で上昇してもおかしくはないとの声も出ている状況。前日にトランプ大統領が「大きな数字が出てくる」との期待感を示す発言をしていたが、いずれにしろ、結果を見極めたい雰囲気が強い。
米追加経済対策については、失業給付の上乗せ措置が既に期限切れとなる中、協議は難航しており、きょうも夕方からホワイトハウスと民主党が協議を行うようだ。お互い譲歩を見せずに協議は難航しているものの、市場は比較的落ち着いた対応を見せており、行方を見守っているといった状況。
ただ、中盤からドル売りが再び強まった。トランプ大統領が給与税減税と立ち退き猶予で大統領令の発令を計画していると表明した。大統領令には、失業保険給付と学資ローンも含まれ、金曜日か土曜日にも署名する意向だという。
ドル円は105.30円付近まで下落する場面もみられたが、全般的には105円台半ばでの上下動に終始。ドル円は先週末に104円台から急速に買い戻しが強まり、106円台を回復する場面もみられた。ただ、今週に入ってからの動きを見た限りでは、それ以上の上げは続かず、上値は依然として重い印象だ。明日の米雇用統計や米追加経済対策を受けて、再びドル売りが強まり、下値模索が強まる可能性は警戒される。
ユーロドルは序盤は利益確定売りが優勢となり、1.1820ドル近辺まで下落する場面もみられたが、トランプ発言で買い戻しが膨らみ、1.18ドル台後半に戻す展開となっている。きょうの英中銀金融政策委員会(MPC)を受けてポンドに買いが強まり、ユーロも連れ高する形で、ユーロドルは1.19ドル台に上昇する場面も見られていた。ただ、1.19ドル台に入ると上値抵抗も強いようだ。
ドル安基調の中で1.19ドル台前半の上値抵抗を突破できれば、重要な節目である1.20ドルを目指す動きも期待される。しかし、このところのユーロ高・ドル安に沈黙を保っているECBも1.20ドルを超えるようだと黙っていないとの声も聞かれ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大を示唆してくるとの声も聞かれる。ECBスタッフが次の経済見通しを作成する段階でユーロ高を看過することはないという。
ポンドドルは、この日の英中銀金融政策委員会(MPC)の結果を受けて買いの反応を見せたものの、NY時間にかけて戻り売りに押されている。ベイリー英中銀総裁はマイナス金利について、選択肢にはあるが、導入する計画はないと言明したことが、ポンド買いを誘ったようだが、ベイリー総裁は、「経済見通しには恐ろしいほど多くの下振れリスクがある」とも述べており、追加緩和の可能性は排除していない。
今回の決定を受けて利下げ期待は後退したものの、追加緩和期待は温存されており、11月に1000億ポンドの資産購入枠拡大のシナリオは健在なようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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