ドル円が急上昇し111円台を一気に回復 中国の景気対策への期待感も=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドル円が急上昇しており、111円台を一気に回復している。本日の安値から100ポイント超上昇。ウイルス感染は依然として拡大が続いているものの、新規感染者数は減少傾向も見せている。中国当局の発表データに懐疑的な見方はあるものの、警戒感の一服に繋がっている模様。しかし、収束の気配まではまだ確認できていないといったところ。
このような中、市場では、中国の景気対策への期待感が高まっており、一部には明日、中国人民銀行が利下げを発表するのではとの見方も出ている。楽観的な向きからは、第1四半期の成長は最悪が予想されるものの、中国政府の景気刺激策次第では、第2四半期にはV字回復も期待できるといった楽観的な声も出ているようだ。
なお、午後にFOMC議事録が発表される。ウイルス感染の影響には言及してくるものと思われるが、先日のパウエルFRB議長の議会証言から逸脱した内容はなく、市場に大きなインパクトを与えることにはならないとの見方も多い。
本日の条件もドル円の買いを呼び込んでいる可能性もある。ひとつは明日20日がゴトウビにあたり、明日の東京時間の午前に実需買いオーダーが期待されること。そして、本日にロングを作り、NY時間夕方の日付変更線をまたげば、4日分のスワップが付く。
ユーロドルは1.07ドル台後半での振幅。ドル買いが優勢となる中、ユーロドルは上値の重い展開が続いている。今年に入ってユーロドルは売りが続いており、今月に入ってその動きが加速。さすがに過熱感は否めず、下値では買い戻しも出ているようだが、本格的な浮上の気配は依然として見えない状況。
1-3月の中国経済は減速が確実視されている。そのような中、市場では特にドイツ経済への影響が懸念されておりユーロを圧迫ようだ。中国はドイツの主要輸出国であるが、今回のウイルス感染でドイツ経済もマイナス成長が警戒されている。この日発表の米住宅指標は予想を上回る内容だったが、好調な米経済指標とウイルス感染がドルの魅力を高めており、ユーロドルは下げ過ぎ感は強まっているものの、さらに下値を模索するとの見方も出ている状況。
ポンドの見切り売りが強まっている。ポンドドルはストップを巻き込んで1.2925ドル付近まで下落。来月に発表される英予算案を巡って市場は期待感を高める中、ポンド買いが強まり、1.3070ドル付近まで上昇していた。しかし、EUとの貿易協定締結のリスクもある中、買いは続かず、見切り売りが出ている格好。
きょうは英消費者物価指数(CPI)が発表され、電気・ガス料金の上昇を受けて6ヵ月ぶりの高水準となった。ポンドは買いの反応を見せたものの、すぐに上値を抑えられたことも、見切り売りを誘っているのかもしれない。CPIは英中銀の想定範囲内でもあり、金利に対する見方に変化はないとの声も出ている。しばらくは据え置きとの予想を裏付けるCPIではあった。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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