日経平均は9月戻り高値更新
上値のポイント~22,307円、22,698円、24,448円というハードル
日経平均は、大きく上昇。408円高の22,207円。9月24日の終値べースの高値22,077円は軽く抜き去りました。
売り方の撤収が大きかったでしょう。日経平均は4月25日終値が22,307円。これを抜くと、絶対期日の観点からみても、青空天井になったということになります。
また、この上ということになりますと、昨年12月3日の22,698円というのがあります。かなりこの時点の買い方はその後クリスマスに向けての突っ込みで、投げさせられているでしょうから、ほとんど戻り売り圧力は無いのではないかと思います。したがって、4月の戻り高値22,307円の突破が、ほぼ昨年10月の24,448円までの全値戻りは約束されたようなものでしょう。
ただ、目先まだ要注意です。グローベックス市場では東京の大引け時点で81ドル高の気配でしたが、材料が材料だけにまだはっきりはしません。米中協議の部分合意を文書化できたら、そこで出尽くし、利益確定という線も無いわけではありません。
上海コンポジット指数は、東京引け時点では反落0.59%の下落で推移しています。
米中休戦に持ち込めるか?
アメリカの対中制裁は、何年も続く長丁場ですが、当面、いったん休戦に持ち込めるかという点が、市場の関心なのでしょう。
トランプ大統領の表現によれば、第一弾の合意がその焦点ですが、これは最終文書が確定するのを見ていくしかありません。
これが成立するということになりますと、今晩から始まるアメリカ企業の決算発表、続いて日本の決算発表と、年後半・下半期の予想に焦点が次第に移っていきます。
今のところ米国企業の7-9月期主要500社(S&P500)のEPSは4%減益という予想になっています。
従来は7%減益予想でしたから、決算発表が始まる前に、すでに改善していることになります。
災害復旧関連の物色
これが、災害復旧関連として一過性の買いなのか、それとも個々の銘柄の持つ中長期的な業績改善に結びついているものなのか、判然としませんが、とりあえず現時点では前者の材料で買われているというものが結構多い一日でした。
土建関連では、不動テトラ<1813>のような地盤改良、日本コンクリート<5269>や日本基礎技術<1914>などもこの関連です。
重機のリースということでは、カナモト<9678>。
電線ということでは、フジクラ<5803>。
災害把握と言う点では、ドローンのドーン<2303>もそうでしょう。
大型では、新幹線の特需ということでは川崎重工7012が200日線に接近したのも、そうかもしれません。
短期では乗ることもまったく問題ないでしょうが、中長期的な投資対象として適格なのかというと、個人的にはやや疑問があります。
夏場以降、秋に向けての相場の緩急~検証と予想
相場は、それがファンダメンタルズ的な材料であろうと、需給であろうと、なんらかのリズムで動いています。
例の22日平均のリズムでは、次ぎが「上」であれば11月7日ごろが小天井だ、と先日も指摘したわけです。
あるいはまた、日経平均が9月19日に22,255円の戻り高値をつけた後調整になりました。これも、3ヶ月ごとの米国企業決算発表を控えたプレアナウンスメント期間(9月中旬から10月初旬)に下げて、10月4日の日経平均は安値21,276円をつけて反発してきているわけです。
10月第一週末金曜日の米雇用統計4日から日本のSQ11日までが、毎月下がりやすいアノマリーだということはよくご存じの通り。
つまり、プレナウなスメントから月間のアノマリーにさしかかる端境の4日に日経平均は安値をつけたわけです。
こうした状況を見ますと、ほぼセオリー通りの相場の緩急で上げ下げしていることがわかります。
なにも特殊な動きは無いのです。
とすれば、11月末のファンドの損益通算期限までは上昇トレンドであるという仮説はかなり信憑性があるでしょうし、目先の押し場があるとすれば、11月上旬にあるかどうかでしょう。
戦略方針
現在は朝寄付から、ドテン反対売買シグナル点灯を見越して日経ダブルインバースETF<1357>処分で、日経レバレッジETF<1570>の買い持ちフルポジションとなっています。
今週、裏切られてまた日経ダブルインバースETFにドテン反対売買を強いられないことを期待しています。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。