日経平均、9月30日(一昨日)の安値を割らず
大型は一応型通りの逆風だが、小型には資金が入っている
欧米株安(1%以上の下落)を受けて、東京市場も売りから始まりましたが、こういうときに耐久力の強いはずのディフェンシブが強いかというと、さにあらず。
たとえば、東証REIT指数、OLC<4661>など、逆行高ですが、結局高値更新できていません。
一応ディフェンシブということでは、セクター別でみますと電力、食品などが上昇率では上位にあるので、全体的にはディフェンシブ優位という一日であったことは確かですが、力強さがあるとは到底思えません。
また、反落した景気敏感系ですが、これも全体に売り込まれた感じはしません。
日経平均のプラスの寄与度の高い銘柄群には、上位に、半導体のアドバンテスト<6857>や、カシオ<6952>、あるいはスズキ<7269>が含まれています。
全体の傾向として、割を食ったのは大型株です。逆に小型株には資金がむしろ向かっているようでした。つまり市場にはまだリスク選好の意思が強く存在するということを意味します。端的な例を言えば、ソフトバンク<9984>を売って、個々の新興市場の小型株を買うというような選択です。
強気派の論点
当レポートもそうですが、現在、相場の強気派というのはいくつかの論点があります。
(米中協議の織り込み済)
およそ、5月以降、米中協議決裂となって以降、5-6月の下げ、そして戻り切れずに8月の下げと二度の下げに見舞われた、最大の背景は米中協議決裂です。
元はと言えば、昨年12月に、およそ米中協議で考えられる最悪のシナリオすら織り込んでおり、以降、一度もこの安値を、日米主要株価指数とも割り込んでいないわけで、何がでても、ダウントレンドに陥っていく可能性は、無い、と判断しているわけです。
(在庫循環は好転を始めている)
日本でも8月の在庫・出荷のバランスが、逆転し始め、在庫循環の好転が出始めていました。
アメリカでも、10-12月には好転していく見通しです。この萌芽は、すでに上半期から散発的に出てきているわけで、全体的にそれが確信に変わるときというのは、恐らくここから年末までの期間でしょうが、来年には業績相場に回帰する可能性が高いと考えているわけです。
(ミクロも、前年同期対比では好転)
昨年後半が、景気が悪化していった真っ最中であり、ここから年末は、それに対する比較になるわけで、現状維持でも好転していきます。
RI(リビジョン・インデックス)も、ここからの悪化は考えにくい状況です。
今回は日本は中間期末ですから、さすがに来年3月期末に向けて、下半期の業績にはこの好転見通しが、相対的に増加してくるはずです。
(連銀の金融政策)
連銀メンバーの中ではハト派であり、これまでも利下げに投票してきたシカゴ連銀総裁が、昨晩の談話で、次の3回目の利下げは「必要ない」と述べています。ハト派がこの談話です。連銀が利下げではなく、下手をすると利上げにスタンスを変えてくることを、むしろ視野に入れておかなければならないわけで、当レポートではそれは、年末と考えています。
来年にずれ込むとしても、大統領選挙の予備選が本格化する3月以降は、利上げが難しくなってくるので、やるなら遅くとも1-3月であろうと読んでいます。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>のフルポジション。このままホールドです。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。