米株が伸び悩みドル円も105円台に値を落とす展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は米株が上昇して始まったことから買い戻しも見られ106円台に戻して始まった。しかし、米株が伸び悩み、一時155ドル高まで上昇していたダウ平均も一時176ドル安まで下落など上値の重い動きを見せたことからドル円も105円台に値を落としている。
前日は心理的節目の105円を割り込んだものの、エスカレートしている米中貿易問題に対するトランプ大統領などからの楽観的なコメントに支えられ106円台まで戻していた。105円を割り込むとショート勢による達成感からの買い戻しが強まるようだ。
しかし、106円台に入ると今度は戻り売りのオーダーも並んでおり上値は依然として重い。トランプ大統領が言及した週末の電話協議に関して中国外務省が再度、「把握していない」と否定。この問題の早期解決に対して市場は懐疑的な見方を緩めていない。また、景気後退への懸念もあいまって米国債利回りも下げており、2-10年債は逆イールドを鮮明にしている。
ドル円は値ごろ感からの買い戻しが出ているものの依然として市場は下値模索を続けているものと思われる。
ユーロドルはNY時間に入って売りが優勢となり、1.10ドル台に再び値を落とした。1.11ドルを挟んでの狭い範囲での値動きが中心だったが、特にユーロ売りの材料は見あたらないものの米株が伸び悩んでいることで、ユーロ円など対クロスでの売りがユーロドルに波及した模様。また、ポンドの買い戻しが見られており、対ポンドでの売りも圧迫したようだ。目先は21日線が1.1135ドル付近、下値は1.1050ドルが意識される。
なお、イタリアの報道で五つ星運動と民主党(PD)が連立に向けて再び協議に入ると報じられた。PDの議員からも協議に進展が見られるとの声も出ており、PDは五つ星運動が推すコンテ首相を受け入れる用意があるとも伝わっていた。ただ、ユーロの反応は軽微だった。
ポンドドルは買い戻しが続き、きょうは1.23ドル台に上昇する場面も見られた。21日線を上回る水準での取引が続いており、チャート的にはリバウンド相場の期待を高めている。リバウンドが本格化するかは1.24ドル台を回復できるかが注目点となりそうだ。
ただ、EU離脱については依然として混沌とした状況が続いている。ジョンソン首相は例え合意が無くても10月31日まで必ず離脱するとの方針を変えていない。議会に阻止させないため、離脱期限まで議会を閉鎖する法的助言を求めたとの報道も流れていた。一方、来週の議会再開に向けて労働党など野党の動きも活発化している。労働党のコービン党首は不信任案の投票を模索しているが、過半数を獲得できるメドがなく方針を変えたとも伝わっていた。他の野党と共闘して離脱前の総選挙を模索しているとの報道も流れていた。
ポンド買い戻しの流れが続いているものの、来週の議会再開後の動きは警戒される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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