本日のところは、急落後の展開がおおむね想定通り
結局、一過性の下げで終わるか
一応、今日のところは、おおむね期待通りの展開でした。
今月、米国株がびっくりするような急落をした翌日は、前二回とも日本は大きく下げ幅縮小で終わっていた事実がありました。
従って、先週末の米国株急落のきっかけも、関税引き上げですから、過去常にその後は株式相場が出尽くしで反発していたことから見ても、ここから日本株が総崩れにならない可能性は十分にあったのです。ただ、下ヒゲは引いたものの、願わくばもう少し戻りがあっても良かったのではないかと言う点は、残念です。
グローベックス市場では、NYダウ工業株先物は、当初250ドル安近辺で、続落の気配でしたが、次第に気配を切り上げ、引け時点では188ドル安。(16時半時点では、128ドル安まで気配は切り上げています)
なお、上海コンポジット指数は朝方は大きく下げて200日線に接近したのですが、その後切り返し、25日線に戻し、東京引け時点では1.19%下落です。(日経が2.7%下落ですから、おかしな話です)
日経平均は、最終的には449円安の20,261円。一時は537円安の20,173円まで下げました。
それでも株が崩れていく場合の要件
当レポートでは、このトランプ大統領のツイッターに端を発した急落も、しょせん一過性で、相場は上昇基調に回帰していくという想定をしているわけです。
それは株を売って、その資金を逃避させる先の米国長期国債は、ドル調達コストからいって投資妙味が無いどころか、損失になってしまう点。また、同じく逃避先の金価格もアメリカの実質金利から言えば、ゼロ近傍ですから、合理的には金価格はもう上がれない状況です。
それでもやはり株式相場が崩れていってしまうという、最悪のシナリオは念頭に入れておきましょう。
日米通商協議、原則合意
アメリカは、対欧州、対中国の通商協議がなかなか進捗しない一方で、対日協議を急いでいましたが、安倍首相はこれに応えた格好です。
結果、農産物、とくにトウモロコシ購入の可能性に言及し(既成事実化は避けたようですが)、代わりに米国が日本製の自動車に課している関税は、今回の合意で変更はないということになりました。
これで、本日大幅下落の東京市場にあって、輸送用機器(自動車)は値崩れを免れているものが多いようです。
トランプ大統領は満足しているようで、9月末の国連総会前後の署名実現に向け、楽観的な見方を示しています。
USTRのライトハイザー氏は、日本が約140億ドル相当の米国産農産物を輸入していることに言及。今回の合意により、70億ドルを超える規模の市場が開放されるとし、牛肉、豚肉、小麦、乳製品、ワイン、エタノールといった製品が恩恵を受けるとの見解を述べています。
景気敏感株の自動車がこれでダメージを避けられた意味は大きいでしょう。日本はここを駆動軸にして景気浮揚をテコ入れするしかありません(5Gも自動車あっての効果が大きいです)。
戦略方針
日経ダブルインバースETF<1357>のホールド続行です。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。