ドル買い優勢 米GDPはポジティブな印象 ドル円は108.80円近辺まで一時上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。朝方発表になった第2四半期の米GDPは予想を上回り、2%台の成長を堅持している。貿易問題の影響で民間設備投資が減少。第1四半期の3%成長に寄与した在庫投資に反動が出たほか、純輸出も減少した。ただ、第1四半期に落ち込んでいた個人消費は4.3%増と力強い回復を示している。全体的には前回よりも伸びは鈍化したものの、個人消費が力強さを維持しており、見た目よりもポジティブな印象。
GDP発表後にドル円は108.80円近辺まで上昇したものの、109円を試す動きまでは出ていない。前日はECB理事会後のドラギ総裁の会見が、期待したほどハト派でなかったとの見方から、欧州債利回りに連動して米国債利回りが上昇したことからドル円も上昇。前日のドラギ総裁の会見が来週のFOMCを連想させた面があったかもしれない。
市場の一部では0.5%の大幅利下げへの期待があり、その分、パウエルFRB議長の会見次第では失望感が出やすい状況。きょうのGDPもそうだが、6月FOMC以降発表されている米経済指標は好調で、利下げに懐疑的な意見も聞かれる。FRBはあくまで予防的な利下げとしており、来週のFMCでの利下げは実施してくると思われるが、秋以降の積極利下げには慎重になってもおかしくはない。その場合はドル高の反応も想定されるが、ドル円に関しては、米株式市場の反応次第ではリスク回避の円買いのシナリオも捨てきれないところではある。
ドル円は21日線を上放れる動きが見られており、黄色信号が点滅していたリバウンド相場の復活への期待も高まる動きとなっている。目先は109円ちょうど付近が上値抵抗として意識。
ユーロドルは再び売りが加速し、1.11ドル台前半に下落。朝方発表の米GDPが予想を上回ったことや、米政府がドル安誘導の為替介入を否定したことも売りを誘っているようだ。ECBは前日の理事会で、利下げや資産購入といった追加緩和再開を強調したものの、その後のドラギ総裁の会見が、期待したほどハト派ではないとの見方から、ユーロドルは逆に買い戻しが強まっていた。ECB理事会直後に1.11ドル割れを試す動きも出たものの、その付近での押し目買い意欲が強かったことも買い戻しを誘っていた面もあったようだ。「噂で売って事実で買う」といった動きが出ていたのかもしれない。しかし、ECBはハト派色を前面に打ち出す中、ユーロドルは再び上値が重くなっているものと思われる。
ポンドドルも売りを強め、今月の安値を一時更新している。市場はジョンソン新英首相の誕生で、これまで以上に「合意無き離脱」へのリスクを高めており、ポンドは下値模索が続いている。ジョンソン首相はきょう、メルケル独首相と会談を行っており、前日の議会での演説同様にバックストップ条項の削除を求めたと伝わっている。同首相の側近は、「EUがバックストップ条項を削除しなければ、新たな協議はない」とも述べたいた。
これについてアイルランドのバラッカー首相は、「バックストップ条項の削除は合意無き離脱に等しい」とのコメントも出ている。EU離脱協定を巡って、英国とEUの隔たりが再び深まる中で、ポンドは浮上のきっかけが掴めないでいる。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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