ロシアとウクライナによる黒海での相互攻撃が激化
ロシアとウクライナによる黒海での相互攻撃が激化しており、世界の穀物やエネルギー輸送を支える主要海上ルートの緊迫度が増している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
ロシアによるウクライナ港湾への攻撃に対し、ウクライナ側もロシアの港湾や船舶への攻撃能力を高めて対抗。黒海全体で商業航行が停滞するリスクが現実味を帯びている。
ウクライナはロシア黒海沿岸の要衝ノボロシースク港に対し、ミサイルやドローンによる攻撃を実施。同港はロシアが黒海艦隊の多くを移転させた防空拠点やインフラを擁するほか、世界の原油供給の約2%を担うカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の拠点でもあり、世界のエネルギー供給への影響が懸念される。ウクライナ軍はアゾフ海や黒海でロシアの「影の船団」など多数の船舶を攻撃したと主張し、海上輸送網への圧力を強めている。
一方のロシアもウクライナ南部オデーサ州の主要港や第三国の国際商船への攻撃を強化しており、直近で数十隻の船舶が被害を受け、多数の死傷者が出ている。こうした事態を受け、海運大手マースクが一部港湾での業務を停止するなど、民間物流への影響が広がっている。
黒海は両国の穀物を世界市場へ運ぶ命綱であり、特にアフリカや中東の食料安全保障を左右する。ウクライナの農産物輸出は秋にピークを迎えるが、ドナウ川経由や陸路などの代替ルートは処理能力に限りがあり輸送コストも膨らむ。すでにシカゴ小麦先物価格は上昇傾向を見せており、攻撃の長期化は世界的な穀物価格の更なる高騰を招きかねない。
過去の局面とは異なり、現在は双方が相手の経済・物流網を狙い合う泥沼の様相を呈している。黒海は中東のホルムズ海峡にならぶ世界の商品市場の重大な供給リスクとして、国際社会の強い警戒を集めている。
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。