【通貨別まとめと見通し】ポンド円:218円台から209円台への歴史的暴落、円キャリー巻き戻しによる9円超のナイアガラ急落とトレンド大転換
【通貨別まとめと見通し】ポンド円:218円台から209円台への歴史的暴落、円キャリー巻き戻しによる9円超のナイアガラ急落とトレンド大転換
先週から週明け(7月27日〜8月3日)のまとめ
前回レポートの時点で高値圏を推移していた相場は、7月30日(木)の欧州時間までは218円台後半(最高値218.688円)で底堅く推移し、さらなる上値追いをうかがう展開となっていた。しかし、この218円台到達が「歴史的な暴落劇」の最後のピークとなった。
30日のNY時間(22:00〜23:00台)から突如として猛烈な円買い圧力が市場を支配。わずか数時間で212円台前半まで一気に5円幅も急落するというナイアガラ相場を引き起こした。翌31日(金)には一時216円台へ半値戻しする場面もあったが、戻り待ちの強烈な売りに押されて再び失速。週明け8月3日(月)には世界的なリスクオフと円キャリー取引の強烈な巻き戻しが直撃し、朝方(9:00台)に心理的節目の210.00円を容易に決壊させ、一時209.576円まで底抜けした。高値からわずか3営業日で「約9円(900pips)を超える歴史的な大暴落」となり、長らく続いた上昇トレンドは完全に崩壊。足元(8月4日昼現在)は211.70円台まで自律反発しているものの、ポンド特有の極めてボラティリティの高い修復相場へ移行している。
詳細な値動きの振り返り
■ 218円台での高値保ち合いとピークアウト(7月27日〜7月30日前半)
週前半の27日(月)から29日(水)にかけては、217.50〜218.50円を中心としたレンジでエネルギーを蓄積。30日(木)の欧州時間(18:00台)には218.688円まで上値を伸ばし、堅調な地合いを維持しているように見えた。しかし、219円の大台には届かず、徐々に上値の重さが意識され始めていた。
■ 突如として牙を剥いたナイアガラ急落(7月30日後半〜7月31日)
30日(木)の夜間(22:00台)から状況は一変する。溜まりに溜まったロング勢のストップロスを巻き込み、23:00台には212.365円まで瞬く間に約5円幅の暴落を記録した。翌31日(金)の東京・欧州時間にかけては自律反発が入り、12:00台に216.323円まで買い戻されたものの、これが「絶好の戻り売り場」となり、NY時間にかけて再び213円台へと押し戻される極めて弱い展開となった。
■ 週明けのパニック売りと209円台突入(8月3日〜足元)
週明け3日(月)は、グローバルな株安連鎖によるリスクオフの津波が直撃。朝方から断続的な売りが止まらず、9:00台には大台の210.00円をあっさりと割り込み、一時209.576円の最安値を記録した。その後は突っ込み売りに対する買い戻しやショートカバーが優勢となり、足元(4日昼)は211.70円付近での乱高下となっている。
ファンダメンタルズ分析
英国側:ポンドのボラティリティを増幅させた「リスクオフの津波」
英国のインフレ動向やBOE(英中銀)の金融政策といった個別のファンダメンタルズ要因は完全に脇に追いやられた形だ。ポンドは主要通貨の中でもリスク感応度が高く、世界的な金融市場の動揺(株価急落など)に伴う「リスクオフ(安全資産への逃避)」の局面では最も売られやすい性質を持つ。今回の大暴落でも、その脆弱性が容赦なく露呈し、他通貨以上の下落幅を記録する要因となった。
日本側:円キャリー取引の崩壊と「マグマの逆噴射」
「いつ介入が入るか」という警戒感の限界点で、日銀の金融政策を巡る思惑やグローバルな投資家のレバレッジ解消が重なり、これまで相場を押し上げてきた「圧倒的な円売りエネルギー(円キャリー取引)」が逆回転を起こした。数ヶ月にわたって積み上げられた巨大なポンド買い・円売りポジションが一斉にアンワインド(巻き戻し)に走ったことで、流動性が枯渇し、パニック的な暴落を引き起こした。
テクニカル分析
トレンド判断
30日高値(218.688円)から3日安値(209.576円)への壊滅的な9円幅の下落により、日足・週足レベルでの「上昇トレンド」は完全に終焉を迎え、明確な「下降トレンド(あるいは暴落後のパニック調整局面)」へと大転換した。
あらゆる移動平均線やテクニカルサポートを窓を開けて下抜けており、現在は「底なし沼」からようやく床(209円台半ば)を確認し、自律反発を試みている段階。短期的には上値に分厚いシコリ(含み損を抱えたロングポジション)が残っており、210.00〜214.00円を中心とした「ボラティリティの極めて高い修復相場」に移行している。
【ポンド円 主要なレジスタンス・サポートライン】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 215.50 - 216.30円 (先週末の反発を阻んだ超重要レジスタンス帯。当面の大天井)
レジスタンス2: 214.50 - 214.80円 (30日の暴落直後に上値を抑えられた窓埋め水準)
レジスタンス1: 212.60 - 212.90円 (8月3日の急落前につけた戻り高値圏。直近の明確な壁)
(下値支持帯)
サポート1: 210.30 - 210.80円 (足元の自律反発局面で下支えとなっている第一防衛線)
サポート2: 209.57円 (8月3日のパニック売りでつけた最安値。絶対的な防衛線)
サポート3: 208.00円 (209円割れが起きた場合の次なる心理的・テクニカルターゲット)
今週のポイント・見通し
今週の最大の焦点は、歴史的な大暴落によってパニック状態にある市場が「209.57円を当面の底として機能させられるか」である。投げ売りは一旦の一巡感を見せているものの、ポンド特有の荒い値動きが続いており、反発局面では強烈な戻り売りに晒されることになる。
【メインシナリオ】209円台を底とした荒い自律反発(ショートカバー)と戻り売り
パニック的な円買いが一旦のピークを迎え、209.57円を当面の底として認識する展開。突っ込み売りに対する買い戻し(ショートカバー)が優勢となり、212円〜213円台への反発を試みる。ただし、上値は非常に重く、213円台以上では戻り売り圧力に頭を叩かれ、210円〜213円の広いレンジ内で乱高下を繰り返しながら日柄調整を進める展開を見込む。
想定レンジ: 210.00 - 214.50円
根拠: 短期的な極度の売られすぎ(オシレーターの極値)からの自律反発、大台210円でのサポート機能、上値に残存する重厚な戻り売り圧力。
【対抗シナリオ】リスクオフの再燃と209円割れによる「二次ショック」の発生
世界的な株安などリスクオフの波が収まらず、円キャリー取引の巻き戻しが「まだ終わっていなかった」場合。足元の自律反発(211円台)が単なる綾戻しに終わり、再び売り圧力が強まる展開。3日安値の209.57円を明確に割り込むと、残っていたロング勢の最後の投げ売りを巻き込み、208円台に向けて底抜けの二次ショック(セリング・クライマックスの第2波)が発生するリスクがある。
想定レンジ: 208.00 - 212.50円
根拠: グローバルなリスク回避姿勢の継続、ポジション解消の未了、ポンド特有のボラティリティ増大による追証(マージンコール)絡みの連鎖的な売り。
総評
先週から今週にかけての相場は、218円台の高値圏から209円台へと、わずか数日で9円超も吹き飛ぶ歴史的な一週間となった。ポンド円はもともと「殺人通貨」と称されるほどボラティリティが高いが、今回の暴落はその異名を改めて市場に知らしめる結果となった。相場のテーマは「高値更新」から「暴落後の底値探り」へと完全にシフトしている。1日に3〜4円動くことも珍しくない異常なボラティリティ環境となっており、安易な値ごろ感からの逆張りは極めて危険である。まずは市場のパニックが完全に収まり、日足レベルでの明確な底打ちシグナルが確認できるまで、厳重なリスク管理が求められる相場環境である。
今週の主な予定と結果
英国
08/03 17:30 製造業PMI(購買担当者景気指数・確報値) (7月) 結果 51.9 予想 52.8 前回 52.8
08/05 17:30 サービス業PMI(購買担当者景気指数・確報値) (7月) 予想 51.8 前回 51.8
08/06 17:30 建設業PMI(購買担当者景気指数) (7月) 予想 40.0 前回 38.4
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。