【通貨別まとめと見通し】メキシコペソ円:9.20円の壁を突破し高値圏へ一時浮上も米雇用統計後に急反落、9.14円台岩盤支持帯での足固めが続く
【通貨別まとめと見通し】メキシコペソ円:9.20円の壁を突破し高値圏へ一時浮上も米雇用統計後に急反落、9.14円台岩盤支持帯での足固めが続く
先週から今週前半(6月1日〜6月8日)のまとめ
先週から今週初めにかけてのメキシコペソ円は、前回レポートまでの堅調な流れを引き継ぎ、強力な抵抗帯であった「9.20円の壁」を明確に上抜け、一時9.2711円まで上値を伸ばすなど、長期的な上昇トレンドのステージを一段引き上げる動きを見せた。しかし、週末5日の米雇用統計の発表を境に流れが急変。急激なポジション調整売りに押されて大台を割り込むと、一時9.14円台まで深く調整するボラティリティの激しい展開となった。それでも、下値ではかつてのレジスタンス帯が強固な支持線として機能するレジサポ転換(ロールリバーサル)を確認。週明け8日(月)には激しい乱高下を経つつも9.18円台へと買い戻され、底堅さを模索する展開となっている。
9.20円の節目突破と一時9.27円台への急伸(6月1日〜5日夕方)
週明け6月1日(月)に9.18円台後半で堅調に推移した流れを引き継ぎ、2日(火)には9.20円の節目をクリアして一時9.2582円まで急上昇。その後も高値圏での揉み合いを維持し、4日(木)には終値で9.2518円を記録するなど、日墨金利差やペソの高金利を背景とした底堅い歩みを継続していた。さらに5日(金)の米雇用統計発表直前(19:00〜21:00手前)にかけてもペソ買いが先行し、9.25〜9.26円台の強気圏を維持して発表を待つ格好となった。
米雇用統計発表直後の乱高下と急反落(6月5日〜6日土曜朝)
相場の流れを一変させたのが、5日(金)21:00発表の「米雇用統計」である。発表直後の21:00台にはショートカバーを巻き込んで瞬間的に週高値となる9.2711円まで急伸したものの、その後は米国金利の上昇やリスクオフに伴うクロス円全体の急激なポジション調整(ロングの巻き戻し)に押されて急失速。22:00〜23:00台にかけて9.21〜9.20円へと一気に水準を切り下げると、NY時間(6日土曜未明1:00台)には一時9.1406円まで深く押し込まれる場面を記録した(週末終値9.1758円)。
週明けの9.14円支持帯テストと足元の揉み合い(6月8日〜9日現在)
週明け8日(月)気に入ると、東京時間早朝(5:00台)に一時9.1412円まで売られて下値をテストしたものの、即座に猛烈な押し目買いが入り午前11:00台には9.1953円まで急浮上した。その後、欧州時間(18:00台)には一時9.1483円まで再調整するなど、上下に非常に荒い値動き(長いヒゲ)を見せたものの、この9.14円台のサポートは極めて強固に機能。引けにかけては9.1823円まで買い戻された。
本日6月9日(火)午前現在、直近では9.18円台(安値9.1643円、11:00時点9.1821円)での揉み合いへと移行。激しい乱高下を経て市場の過熱感(ロングの偏り)が綺麗に整理され、次なる反転上昇へのパワーを蓄積している格好だ。
ファンダメンタルズ分析
この期間のファンダメンタルズは、「メキシコペソの高いインカムゲイン(スワップ)の魅力」と「米雇用統計サプライズに伴うクロス円全体の急速なポジション調整」の激しい綱引きが大きな背景となっている。
メキシコ側(下支え): メキシコ中銀による高金利政策の維持、および圧倒的な日墨金利差を背景とした円売りペソ買い需要は根本的に非常に強い。この実需の「キャリートレード需要」の根強さが、米雇用統計後の急落局面における強力な下支え(押し目買い)として執行されている。
グローバル側(上値の重さとポジション調整): 5日の米雇用統計の強い結果を受けて世界的にドルの独歩高や長期金利の急上昇が起きたことで、新興国通貨ロングポジションの巻き戻し圧力が一時的に高まった。また、今週11日(木)には欧州中央銀行(ECB)理事会が控えており、利下げ開始に伴う欧州通貨やクロス円全体のボラティリティ変化への警戒感から、週前半のペソ円も一時的に上値が抑制される形となった。
テクニカル分析
トレンド: 短期的には「9.20 - 9.26円」の強気レンジから、米雇用統計を経て「9.14 - 9.20円」のレンジへと主戦場が一段切り下がった。しかし、週末から8日にかけて再三にわたり「9.14円台」で下ヒゲを確認しており、かつての強力な抵抗帯が今回は岩盤支持帯(レジサポ転換)として機能していることが明確になった。長期的な上昇トレンド自体は全く崩れておらず、現在は短期的な過熱感をクリーンにリセットして足場を再構築するフェーズにある。
レジスタンス1: 9.2000(心理的節目。ここを安定的かつ明確にクリアすれば、再び強気圏への復帰に弾みがつく)
レジスタンス2: 9.2400 - 9.2500(5日急落前の主戦場であり、戻り売りの出やすい防衛線)
レジスタンス3: 9.2711(6月5日の米雇用統計時に記録した突発的高値・直近のレンジ上限)
サポート1: 9.1600 - 9.1700(本日の揉み合いでサポートとなっている直近の支持帯)
サポート2: 9.1400 - 9.1480(6日の急落時や8日の再調整局面で驚異的な底堅さを見せた下ヒゲ安値 9.1406 - 9.1412円を基準とする支持帯)
サポート3: 9.1100 - 9.1200(5月中旬の揉み合いにおける重要岩盤支持線)
RSI (14時間足):
前回の9.25円台推移時の65〜72付近の「買われすぎ(過熱圏)」から、5日の雇用統計後の急落および8日の調整により、一時33付近の売られすぎ圏目前まで力強く低下した。その後の反発と本日9日午前の揉み合いにより、足元では47.0付近の「中立」の巡航速度まで回復。買われすぎの過熱感は完全にリセットされており、ここから再び上値を追って9.20円の大台を突破するための余力は十分に蓄積されている。
MACD:
6月2〜5日朝にかけてはプラス圏で推移し上昇モメンタムを維持していたが、5日夜の急落によって時間足ベースで明確なデッドクロス(DC)を形成し、ヒストグラムがマイナス圏へと沈んだ。しかし、8日の9.14円台からの再三のV字反発に伴い、時間足のMACDラインが反転。ゼロラインの下方(売られすぎ圏)でゴールデンクロス(GC)を形成する手前の局面にあり、短期的な売り圧力が完了し、中長期の強気トレンドが再加速するサインを示唆しつつある。
今後のポイント・見通し
今週の最大の焦点は、米雇用統計によるポジション需給整理を経て、再三にわたり底堅さを示した「9.14円台の岩盤サポート」を維持し、今週11日のECB理事会を通過した後に「9.20円の大台への再復帰」を果たせるかである。
【メインシナリオ】足固め完了に伴う9.20円台の奪還と高値圏回帰
先週末から週初にかけて、9.14円台という新たな押し目(ロールリバーサルゾーン)を完全に固め、市場のロングポジションの需給整理とエネルギー蓄積を完了した。11日のECB理事会を無難に通過し、クロス円全体のリスクオンセンチメントが回復すれば、圧倒的な日墨金利差の需給を背景にペソ買いが再燃。まずは9.20円の壁を突破し、売り方のショートカバーを巻き込んで9.24〜9.25円台の元の高値圏へと本格復帰する可能性が高い。
想定レンジ: 9.1400 - 9.2500
根拠: 9.14円台の強固なレジサポ転換の成功、および時間足MACDの売られすぎ圏でのゴールデンクロス形成。
【対抗シナリオ】9.20円手面での足踏みと9.14円割れによる再調整
9.20円の節目を前に戻り売り圧力に上値を阻まれた場合、あるいは11日のECB理事会がハト派サプライズとなりクロス円全体が急落した場合、失望売りを誘い再び9.14円の岩盤をテストする展開となる。ここを明確に下抜けた場合は、新興国通貨ロングのクローズを巻き込んで9.10〜9.12円近辺までのレンジ拡大と調整期間の長期化を余儀なくされる。ただし、その場合も中長期的には金利差を背景とした押し目買いの好機と捉えられる。
想定レンジ: 9.1000 - 9.2000
根拠: クロス円全体のポジション再調整、およびECB理事会後のボラティリティ上昇。
総評
6月1日から8日にかけてのメキシコペソ円は、一時9.27円台まで急伸してステージを一段切り上げたものの、5日の米雇用統計を受けたグローバルなポジション整理により大きな調整を余儀なくされた。しかし、週明け8日に再三にわたって「9.14円台」を死守し、速やかに9.18円台へとV字回復した事実は、相場の底流にある「ペソ高・円安」の地合いの強さを改めて物語っている。
11日のECB理事会を控えて目先は神経質な展開が続くものの、テクニカル的な下値支持の確認は順調であり、イベント通過後は高いスワップ金利の魅力を背景に、再び9.20円大台を奪還し、高値圏へと回帰する歩みを再開させる可能性が非常に高い。
06/09 21:00 消費者物価指数(CPI) (5月) 予想 -0.11% 前回 0.2% (前月比)
06/09 21:00 消費者物価指数(CPI) (5月) 予想 4.08% 前回 4.45% (前年比)
06/11 21:00 鉱工業生産指数 (4月) 予想 0.4% 前回 -0.6% (前月比)
06/11 21:00 鉱工業生産指数 (4月) 予想 0.7% 前回 -1.3% (前年比)
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





