ドル円、後半に下げ渋るも一時154.65円付近まで下落=NY為替概況
ドル円、後半に下げ渋るも一時154.65円付近まで下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は序盤に売りが強まり、154円台に下落。一時154.65円付近まで下落する場面も見られた。心理的節目の155円を下回り、21日線も下回っていたが、後半は押し目買いも見られ、155円台半ばまで買い戻されている。
本日は植田日銀総裁の名古屋での講演に敏感に反応。「仮に利上げしても金融環境は緩和的だ」と述べた点を利上げに概ね前向きと受け止めているようだ。市場では今月の利上げを織り込む動きが進み、短期金融市場では80%程度まで確率が上昇。一方、来週のFOMCでの追加利下げ観測もドル円を圧迫。
市場では今月の利上げを織り込む動きが進み、短期金融市場では80%程度まで確率が上昇。一方、来週のFOMCでの追加利下げ観測もドル円の戻り売りに繋がっていた模様。
ただ、勢いは限られるとの見方も出ている。FRBの利下げ観測はすでに広く織り込み済みの上、日銀の決定会合までなお2週間以上時間があるという。
ユーロドルは緩やかな買戻しの流れが出て、1.16ドル台半ばまで一時上昇。100日線が1.1645ドル付近に来ており、顔合わせしたものの、上値は抑えられていた。1.16ドル台半ばの水準は上値抵抗も強く、その水準を回復できれば、ダブルボトムも形成される状況。一方、ユーロ円は円高の動きから戻り売りが強まっており、一時180円台前半まで一時下落。日銀の早期利上げ期待が高まり、利益確定売りが出ていた。ただ、下押す動きまでは見られていない。目先は本日179円台半ばに来ている21日線を試しに行くか注目される。
ストラテジストは、ユーロ圏の成長見通しは英国よりも明るいように見えると指摘している。ECBはインフレを目標水準まで低下させることに成功した一方、英国ではインフレが根強く残っているためだという。
英国のインフレは当面、英中銀の目標である2%を上回ることが予想され、これにより金融政策と財政政策の引き締めが続く可能性があるという。また、「EU各国は責任ある歳出によって成長を押し上げようとしている一方、英国は自ら課した厳格な財政規律と根強い高インフレに対処しなければならない状況だ」とも述べた。
ポンドドルは一時1.3275ドル付近まで上昇したものの、1.33ドル台を試すことなく伸び悩む展開。一方、ポンド円は円買戻しから下落し、205円台前半から半ばで上下動した。先週はリーブス英財務相による秋季予算案の発表で、予想以上に財政余力を残したことからポンドはポジティブな反応が見られていたが、その上げは維持できていない。
市場では今月の英中銀の追加利下げをほぼ確実視している中、アナリストからは英中銀は12月に広く予想されている0.25%ポイントの利下げを実施した後、利下げを一時停止する可能性があるとの指摘が出ている。
12月の決定後はインフレ再上昇リスクを理由に様子見姿勢に入り、次の利下げは2026年第2四半期まで行われない見通しだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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