【これからの見通し】ドル円が上昇、円売りとドル買いの両面で ただあすには米CPIが控える
【これからの見通し】ドル円が上昇、円売りとドル買いの両面で ただあすには米CPIが控える
ドル円が再び152円台半ばへと上昇している。10月初頭に153.27レベルの高値をつけたあとは、いったん150円台を割り込む場面があった。そして高市首相の誕生とともに再び上値を追う展開となっている。
ドル円の上昇については、円売りとドル買いの両面からの支援材料が指摘されよう。円売りの面では、高市内閣が拡張的財政政策を指向するとともに、緩和的な金融政策を望んでいることが挙げられる。来週の日銀決定会合では政策金利が据え置かれるとの見通しが強まっている。
ドル買いの面では、足元でトランプ米大統領がロシアのプーチン首相との話し合いについて時間の無駄だとの発言を行っている。当面の米露首相会談の芽は摘まれており、市場はリスク警戒の動きを示している。特に、原油相場の上昇がそれを物語っている。為替相場にとっては、リスク警戒のドル買いの面がみられているようだ。
一方で、中国との貿易協議については、硬軟取り混ぜた報道が交錯している。中国のレアアース輸出制限に米国サイドからは船舶輸送に関する制裁措置を検討しているという。ただ、市場では度重なるトランプ政権の「TACO取引」を想定しており、中国に関してはそれほどネガティブな反応を示していないようだ。株式市場動向が気になるところだが、現時点では高値からの調整の域はでていないようだ。
そのなかで気を付けたいのが明日に米消費者物価指数発表を控えていることだ。米政府機関の一部閉鎖の影響で、大半の米政府系機関からの経済統計発表がストップしている。そのなかで、元データが入手可能だった物価統計はなんとか米FOMC前に発表されることとなった。貴重な米重要指標発表を控えて、市場は一方向にポジションを傾けにくい状況となっている。したがって、この後の海外市場では各材料に対する反応は一時的にとどまり、売買が交錯することが想定されそうだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、トルコ消費者信頼感指数(10月)、トルコ中銀政策金利(10月)、香港消費者物価指数(CPI)(9月)、カナダ小売売上高(8月)、米中古住宅販売件数(9月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)(10月)などが予定されている。
発言イベント関連では、レーンECBチーフエコノミストのイベント出席、ディングラ英中銀委員のアイルランド中銀主催会議出席などが予定されている。ただ、ECBは来週の30日までブラックアウト期間に入ることから、きょうのレーン氏の発言は期待薄だ。米5年インフレ連動債(TIPS)入札(260億ドル)が実施される。米主要企業決算では、インテル、Tモバイル、フォード、ブラックストーンなどが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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