【来週の注目材料】パウエル米FRB議長、NABE年次総会で講演
【来週の注目材料】パウエル米FRB議長、NABE年次総会で講演
米連邦政府機関の一部閉鎖の影響で本来今週発表される予定となっている米消費者物価指数(CPI)、米生産者物価指数(PPI)、小売売上高などは発表が未定です。米CPIやPPI、雇用統計などを担当する米労働省労働統計局(BLS)はCPIなどについて、政府機関閉鎖中でも発表を行うべく動きを進めていると報じられていますが、本来の日次での発表は難しく、月内での発表を目指すとなっています。10月28日、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に、参考データとして指標発表を目指す形となります。
政府機関閉鎖解除に向けた米共和党と民主党の協議の進展なども注目材料となります。今のところ両党とも強硬姿勢を崩していませんが、長期の閉鎖による有権者の不満からの支持率低下を避けたい意識もあり、難しい判断になります。
主要な米経済指標の発表が不透明となる中、市場の注目は米FRBをはじめとする中銀関係者の発言となります。中でも14日(日本時間15日午前1時20分)より全米企業エコノミスト協会(NABE)年次会合で行われるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演です。テーマは経済見通しと金融政策(Economic Outlook)。質疑応答も予定されています。昨年のNABE年次会合でも議長は講演を行っており、その際には、経済がおおむね予想通り進展すれば、金融政策は時間とともにより中立的なスタンスへと移行するなどと発言し、2025年1月から5会合続いた政策金利据え置きに向けた示唆が見られました。
今回の注目は今年この後の利下げと、来年の利下げ継続に向けた姿勢となります。9月16日、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は6会合ぶりに利下げに踏み切りました。同会合で示されたFOMCメンバーによる年末時点での政策金利見通しでは年内あと2回(10月28日、29日と12月9日、10日)の利下げ見通しが中央値となりました。ただ、19名のメンバー中9名が1回以下の利下げ見通しを示しました。パウエル議長の会合後の記者会見では、労働市場はもはや堅調とは言えないと、米雇用の厳しい状況を認めたものの、金利をめぐり急速に行動する必要はない、会合ごとにデータを見極めていくなどと渋滞の慎重な姿勢も残しました。その後9月25日に発表された米第2四半期GDPが予想を大きく下回る伸びに留まったことで、追加利下げ期待が後退。9月のFOMC直後は80%程度あった年内あと2回の利下げ見通しは、一時60%前後まで低下しています。
その後の米連邦政府機関一部閉鎖を受けて、FOMCの見通しもやや変化。一部では金融政策決定に際する判断材料に欠けるとの指摘もありますが、先行き不透明感が広がったことで利下げで米景気を支えるとの姿勢が勝ると見らています。議長が利下げに向けてどこまで積極性を見せてくるかがポイントとなります。
18日から米FRBはブラックアウト期間(米FOMC前に関係者が金融政策についての発言を制限される期間)に入るということもあって、パウエル議長以外にも発言予定が並んでいます。パウエル議長講演のある14日には次期FRB議長候補として名前の挙がるボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事がともに国際金融協会(IIF)の年次総会で発言します。こちらも要注意です。また、ラガルドECB総裁をはじめとするECB理事会関係者、ベイリー英中銀総裁をはじめとする英中銀関係者の発言予定も並んでいます。日銀審議委員では、タカ派として知られる田村委員が沖縄での金融懇談会に出席、内田副総裁も発言の予定があります。
MINKABUPRESS 山岡

執筆者 : MINKABU PRESS
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