ドル円、147円手前まで戻す展開 ECB理事会を受けユーロ上昇=NY為替概況
ドル円、147円手前まで戻す展開 ECB理事会を受けユーロ上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は東京時間に一時145円台に下落していたが、NY時間にかけて買い戻しが膨らみ、147円手前まで戻す展開。本日の21日線が146.25円付近に来ていたが、その水準はサポートされている。この日発表の米新規失業保険申請件数が予想を大きく下回り、米国債利回りが上昇したこともドル円をサポートした。
日米の合意により、これまで不透明だった関税問題が徐々に可視化されてきており、関税率15%という具体的な数字も出ている。それに伴って日銀の利上げ期待が復活していることや、ドル自体が再び上値が重くなってきていることもあり、ドル円も上値の重い展開が見られていた。ただ、積極的に下値を試そうという雰囲気まではない中、本日は買い戻しが優勢となった模様。
ユーロドルは買い戻しが膨らみ、1.17ドル台後半まで一時買い戻された。21日線の水準も復活しており、この1週間で完全に上向きの流れに復帰している。目先は7月初めの直近高値1.1830ドル付近が上値メドとして意識される。
本日はECB理事会が開催され、大方の予想通りに中銀預金金利を2.00%に据え置いた。将来のガイダンスは示さず、「経済指標次第で、理事会ごとに判断」としている。関税に関する極めて不確実な環境を理由に挙げた。
その後のラガルド総裁の会見では「ECBは良い地点にある」と繰り返していた。市場が期待していた9月理事会に向けた明確なヒントはなかったが、様子見姿勢を滲ませたことで、短期金融市場では追加利下げ期待が後退。9月の利下げ確率は25%程度での織り込みに低下している。
ポンドドルは売りが優勢となり、1.35ドルちょうど付近まで下げ幅を拡大した。本日の21日線が1.3565ドル付近に来ており、その水準で上値を抑えられた格好となっている。本日は7月の英PMI速報値が発表になっていたが、製造業は予想を上回っていたものの、サービス業は予想を下回るまちまちな内容となっていた。
エコノミストはスタグフレーション的な様相を呈していると指摘。成長は弱く、雇用は減少し、インフレは高止まりしているという。労働市場は年後半にかけてさらに緩む可能性が高く、財政政策も秋の予算案で引き締め方向に向かうと見られている。今回の英PMIの結果は、年内の英中銀の追加利下げが可能であるという見方を裏付けているが、インフレの高止まりが、利下げペースを加速させることを妨げるだろうとも述べた。
短期金融市場での英中銀の8月利下げの期待は90%以上に高まっている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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