【これからの見通し】米国売りの相場は一服も、米関税関連の警戒感は継続
【これからの見通し】米国売りの相場は一服も、米関税関連の警戒感は継続
本日はドルが買い戻されている。また、米債利回りの上昇も一服。米株は前日のNY市場で買われており、きょうの先物はやや調整に押されている。全般に米国売りの相場展開は一服している状況だ。
ただ、米国と各国との貿易交渉はまだ先が見えない状況だ。成果が示せたのは英国くらいだ。比較的簡単に合意できるとされた日本やインドに関しても結果は出せていない。中国は強硬姿勢がトランプ大統領の譲歩を引き出せるとの学習効果もあり、主導権を握る自信がみられているようだ。政治関連でもウクライナ、ハマス、イランなどに対する米国対応は中途半端に置かれている感が強い。
最近の市場では相互関税当初のようなパニック商状はみらず、次第にトランプ慣れをしてきているようだ。ただ、米関税が中長期的な経済に与える影響には引き続き警戒感が高い。トランプ関税以前の状況に戻ることは困難であるとみられている。米国に対する信任が失われてきていることで、米国離れの動きが構造的なものに変化してきているようだ。外貨準備や貿易取引通貨、投資対象の分散化が世界的な潮流として続く可能性があろう。為替市場では、調整の動きを交えつつ、根強いドル安圧力が続きそうだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、トルコ消費者物価指数(5月)、トルコ生産者物価指数(5月)、ユーロ圏消費者物価指数(HICP・概算値速報)(5月)、ユーロ圏雇用統計(4月)、南ア実質GDP(2025年 第1四半期)、ブラジル鉱工業生産指数(4月)、米製造業新規受注(4月)、米JOLTS求人件数(4月)、米耐久財受注(確報値)(4月)など。注目は米JOLTS求人件数で、市場予想710万件(前回719.5万件)をさらに下回るようだと、米国売り反応が警戒される。
発言イベント関連では、植田日銀総裁が内外情勢調査会で講演、ベイリー英中銀総裁、ブリーデン副総裁、マン委員、ディングラ委員などが英議会財務委員会公聴会に出席、チュディン・スイス中銀理事が講演、グールズビー・シカゴ連銀総裁が会議に出席、クックFRB理事が金融政策および経済見通しについて講演、ローガン・ダラス連銀総裁「Fed Listens」イベントで開会挨拶を行う。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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