ドル円、一時148円台半ばまで急上昇 米中貿易協議の進展でリスク選好=NY為替概況
ドル円、一時148円台半ばまで急上昇 米中貿易協議の進展でリスク選好=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが強まり、ドル円は一時148円台半ばまで急上昇した。週末の米中貿易協議に進展が見られたことで市場は全体的にリスク選好の雰囲気が強まった。本日の200日線が149.70円付近に来ているが、明日以降、その水準を試しに行くか注目される。
米中は週末にスイス・ジュネーブで行った貿易協議で、相互の関税率を一定期間引き下げることで合意した。90日間の猶予が設定され、米国は中国に対する関税率を今月14日までに145%から30%に引き下げる。中国も関税率を125%から10%に引き下げた。市場からは想定以上の改善との受け止めも多く、リスク回避の雰囲気を高めたようだ。
金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の5月6日付の建玉報告によると、円の買い越しは前週から減少こそしていたものの、過去最高水準に変化はなく、レバレッジ・ファンドにおいては2019年以来の高水準となっていた。円ロングが過度に積み上がっている状況に間違いはなく、米中のニュースで一気に円ロングの巻き戻しを呼び込んでいた模様。
ユーロドルは一時1.1070ドル近辺まで下落。21日線を完全に下放れる展開となり、下値警戒感が強まっている。ファンド勢からのロングポジション解消が活発に出ていたと指摘も出ていた。
2月初めの安値から4月の直近高値の上昇波のフィボナッチ38.2%戻しが1.1025ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。米中との貿易協議に予想以上の進展が見られたようだが、EUとはまだ何も進展が伝わっておらず、次はこちらが注目される。
ポンドドルは一時1.31ドル台半ばまで下落。21日線を下放れる展開を強め、下値警戒感が強まり出しているようだ。英中銀は先週の金融政策委員会(MPC)で利下げを決めたが、市場は次回6月は据え置きとの見方を強めている。先週のMPCで利下げへの慎重姿勢が予想以上に強かったため。
そのような中、ロンバルデッリ英中銀副総裁が本日のコンファレンスで、「関税よりも英インフレ指標が焦点である」と述べていた。関税の英経済への直接的な影響は最小限に留まり、その懸念は後退している。それ以上に焦点はインフレに置かれているという。サービス部門と賃金データからは、インフレの段階的な鈍化が確認されているものの、インフレ目標の上での推移に変化はなく、継続的な監視が必要だと指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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